世界に冠たるグローバル企業の経営トップが記者会見や基調講演に相次いで登壇し、「なりわい」革新を宣言したCES 2018。
IoTによる破壊的イノベーションが加速することで「近未来の生活体験」が部分的にではあるものの、一段とリアリティを持ち始めたことについては、この1月と2月の寄稿でお伝えした通りである。
【参考】
「企業トップが『なりわい』革新を唱えたCES 2018」
「CES 2018で見たコネクテッドな生活の近未来」
しかしながら、テクノロジー主導の進化に対するアンチテーゼとしてCES 2018の期間中、「リアルの逆襲」を強く印象付ける出来事にも偶然に触れ、否応なく考えさせられる機会が多かったこともまた事実である。
CES2018レポートの締めくくりとして、今回はこのビッグイベント周辺で実感した「積み残された課題」についてお伝えしたい。
度肝を抜かれたBMWの「究極のドライビング体験」
“THE ULTIMATE DRIVING EXPERIENCE”(究極のドライビング体験)。
CES 2018のメイン会場となるラスベガス・コンベンション・センター(LVCC)に今回初めて足を踏み入れた来場者は例外なく仰天したに違いない。
会場のメイン導線にある野球場くらいの広さの駐車場を、BMWが借り切って派手なイベントを展開している。
シャンパン・ゴールドに塗装されたBMW M3に来場者が乗り込んだ1秒後。クルマはフルスロットルで急加速、ドリフトとスラロームを執拗に繰り返し、タイヤがアスファルトの路面を擦り付けるスキッド音と濛々たる白煙を残して疾走する。
それも1台ではなく、常時数台のBMW M3が間髪をおかず、ストップ&ゴーを繰り返しているのだ。
【参考】The Ultimate Driving Experience @ CES 2018