21世紀を勝ち抜きたいビジネスマンのバイブル

9プリンシプルズ:加速する未来で勝ち残るために
著:伊藤穰一、ジェフ・ ハウ/訳:山形浩生
出版社:早川書房
ISBN 9784152096975

以前「AI時代に「何もしない」取り残される日本の危機」でも取り上げた、平成28年の総務省「ICTの進化が雇用と働き方に及ぼす影響に関する調査研究」によると、米国の就労者はAIの普及にそなえ、AI導入への対応・準備を重視する姿勢がうかがえる一方、日本の就労者は「対応・準備については特になにも行わない」という人が過半数を超えるという結果が出ている。

このようなデータから見えてくるのは、グローバリゼーションと技術革新が世界中で進む中、日本人の多くが時代の潮流に乗れずただ立ちすくんでいる状況だ。

第4次産業革命下において、人間の仕事の多くがAIやロボットに代替される時代が目前まで迫っている今、ビジネスで求められるのは、高いスキルはもちろんのこと、自由な創造力や多様性などの、人間だからこそ持ち得ている部分を研ぎ澄ませていくことだ。

本書は、日本人で初めてMIT(マサチューセッツ工科大学)メディアラボ所長に就任した伊藤穣一氏が著者の一人として、めまぐるしく変化する現代を生き抜くための、「9つの原理(ナイン・プリンシプルズ)」を紹介する“21世紀”という時代のユーザーズマニュアルだ。

本著の構成はタイトル通り、9つに分かれている。

1. 権威より創発
2. プッシュよりプル
3. 地図よりコンパス
4. 安全よりリスク
5. 従うより不服従
6. 理論より実践
7. 能力より多様性
8. 強さより回復力
9. モノよりシステム

「1. 権威より創発」の中で、

"「漸進的な進歩しかできない権威主義的なシステムと違い、創発システムは、ネットワーク時代を特徴づける球速な変化に素早く対応できる、非線形イノベーションを育む」"

と記されている。権威を持つ人々が保守的な手順で仕事を進めた結果、技術革新の波に乗り遅れた日本企業の多くは、今まさにこの問題に直面しているのではないだろうか。

激動の変化が起こる時代において、本著はまさに「9つの原理」というタイトルの通り、人々が漠然と感じていたものを明確に示してくれた本である。これから先、ビジネス上での判断を求められる場面に効果的な指針を与えてくれる、21世紀型ビジネスマンのバイブルとなってくれそうな1冊だ。