「どこのホテルも満室で、日本人ですら予約が取りづらい」……最近、東京や観光地での宿泊に関して、このような言葉が聞こえるようになった。

 2020年東京オリンピック開催に向けた国の施策もあって、訪日外国人の数は年々増え続け、2016年10月時点ですでに2,000万人を突破した(観光庁調べ)。

 インバウンド需要の拡大に伴い、宿泊施設や客室、従業員の慢性的な不足もあり、今ホテル業界のIoT化への関心が高まっている。

 今回は、ホテルなどの自動精算機・システム開発メーカーのアルメックス社にホテル業界のIoT化についての現状と今後の話を伺った。

チェックイン・アウトのIoT化が“おもてなし“強化につながる

 さらに増える見込みのインバウンドの宿泊需要を受け入れていく上で、何が課題なのか?アルメックス情報システム事業部 企画課の遠藤裕弘氏は、法整備こそが第一の課題であると言う。

「民泊などは特に法整備が追いついていないのが現状です。外国人観光客の数が年々増えていますが、泊まる場所がない。ただ、簡易宿所、いわゆるカプセルホテルやホステルについては、都市部・観光地を中心に増えてきていますね」(遠藤氏)

株式会社アルメックス 情報システム事業部 事業企画部 企画課 課長 遠藤裕弘氏

 簡易宿所の場合は法改正にて要件が緩和された事により参入障壁が低くなってきている。アプリや自動精算機などの仕組みと組み合わせて導入すればフロント業務の効率化が図れ、今後、観光客の宿泊数増加も吸収できると遠藤氏は考えているという。

 宿泊施設側は精算やチェックイン・アウトの部分をIoT化することにより、少人数でのオペレーションを可能にできる。いわゆるローコストオペレーションによって、来客へのおもてなしが必要なポジションへ、人員を配置できるようになることもメリットだという。