法執行機関と協力、民事訴訟や刑事告発も

 アマゾンは社内に法令遵守チームを設置して詳しく調査している。米国土安全保障省が所管する移民税関捜査局・全米知的財産権調整センター(IPRセンター)や欧州刑事警察機構(ユーロポール)のほか、世界各国の関連法執行機関とも協力している。

 20年6月には社内で、元検察官や元捜査官、データアナリストなどの専門家で構成する「模倣品犯罪対策チーム(Counterfeit Crimes Unit、CCU)」を発足させた。各国のメーカーや当局と協力し、民事訴訟や刑事告発などを通じ、悪質業者の法的責任を追及している。

 20年11月には、このチームとIPRセンターや米国税関・国境警備局(CBP)などが協力。模倣品の流通を食い止める共同作戦「Operation Fulfilled Action」を実施した。アマゾンによると、このチームが21年に米国や英国、EU(欧州連合)、中国で提訴・告発した犯罪件数は前年比4倍の600件超に上った。

出品者ブランド保護の施策も

 アマゾンは出品者の審査も強化している。新規登録する出品者は、アマゾンの担当者との対話(対面やオンライン)を通じて身元確認書類などを提示しなければならない。米国や英国、カナダ、EU、日本などでこの認証を受けることを義務化している。こうした施策により、悪質業者がアカウント登録することがより困難になったとアマゾンは説明している。

 このほか同社は出品者のブランドを保護するための施策を講じている。

 これには、商標登録を支援する制度「IPアクセラレーター」、商標権を持つ出品者を対象に権利侵害の商品をチェック・検出したり、報告したりできるようにする「Amazonブランド登録」、出品者自らが模倣品をアマゾンのサイトから削除できる「Project Zero(プロジェクト・ゼロ)」などがある。

 商品にシリアル番号を付与し、配送前に正規品であることを確認する「Transparency(トランスペアレンシー)」も導入した。アマゾンによると、トランスペアレンシーは世界で2万3000以上のブランドに登録されており、その数は20年比で35%増加した。21年は同50%増の7億5000万点以上の商品を保護したとしている。

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