検索のグーグルは影響受けず、FBから広告流入も

 一方で、グーグルの主力事業はインターネット検索広告だ。同社は利用者が入力する検索キーワードによって、一人ひとりの趣味や嗜好の把握が可能。アプリやウェブの行動追跡に大きく依存しない。アップルの規制でターゲティング広告の精度が下がったフェイスブックなどからグーグルに出稿先を変更した広告主も少なくないと、ウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。

 21年7~9月期のグーグルの広告売上高は531億3000万ドルだった。これに対しフェイスブックの広告売上高は282億7600万ドル、スナップは11億ドルだった。グーグルによると、動画配信「YouTube(ユーチューブ)」はアップル規制の影響をあまり受けていないという。

ツイッターとアマゾン、影響軽微

 影響を受けていないネット企業には、米ツイッターや米アマゾン・ドット・コムもあると指摘されている。ウォール・ストリート・ジャーナルによるとツイッターもネット広告を主力事業としているが、同社はブランド広告が中心。広告主は、直接的な販売に結びつく商品広告と異なり、ブランド広告に対して効果の定量化を求めない傾向があるという。

 また、アマゾンは自社ECサイトにおける購買・検索・閲覧データに基づき広告を配信しており、iPhone向けアプリなどを横断する利用者行動追跡への依存が低い。

 同社は、自社ECサイト内で利用者が入力した検索キーワードや閲覧内容に関連する広告主の商品を、検索結果ページや商品詳細ページに表示する「スポンサープロダクト」と呼ぶ広告を手がけている。最近はその規模を拡大している。

 アマゾンの広告事業は急成長している。米調査会社のイーマーケターによると、同社は18年に米国検索広告市場で米マイクロソフトを上回り、グーグルに次ぐ2位に浮上した。同社の検索広告はその後も成長が続いており、グーグルとの差を縮めている。広告収入が大半を占めるアマゾンの「その他」項目の売上高は、21年4~6月期に前年同期比87%増の79億1400万ドル(約9000億円)に達した。

 同社は米国時間11月28日に同年7~9月期の決算を発表するが、同四半期も引き続き広告事業の好業績が見込まれるとロイターは報じている。

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