鴻池運輸 取締役専務執行役員 海外事業担当兼技術革新担当 鴻池 忠嗣氏(撮影:榊美麗)
「運輸」にとどまらず、顧客の生産工程を請け負う独自のビジネスモデルで地位を築く鴻池運輸。だが今、主力事業が自動化と人手不足で失われかねない危機に直面している。突破口として同社が活路を求めたのが、「海外」と「技術革新」だ。インダストリー4.0(第4次産業革命)の本丸ドイツで「勝てるツール」を開発し、成長市場インドを「第2の創業地」として攻める。グローバル戦略の全貌を、取締役専務執行役員の鴻池忠嗣氏に聞いた。
海外で勝負するには「勝てるツール」が必要
──「中期経営計画2027」で、事業戦略の柱の一つに海外事業の拡大を掲げています。狙いは何ですか。
鴻池忠嗣氏(以下、敬称略) 当社は社名に「運輸」とあるのですが、実は売上の中心は物流ではなく、鉄鋼・食品・化学業界などにおける製造請負事業と、空港・医療業界などにおけるサービス請負事業が約半数を占めています。
一例として、鉄鋼メーカーの製鉄所では、当社が鉄鉱石などの原材料の受け入れから鉄の製造、できた鉄のコイルの検査・梱包、保管、輸出までの一連のバリューチェーンを担っています。この当社独自の強みを、倉庫の保管・配送を行う「3PL(サードパーティロジスティクス)」に加えて、より上流の生産工程自体を請け負う「3PP(サードパーティープロダクション)」と私たちは呼んでいます。
しかし今、私たちはこの事業モデルを失うかもしれないという、大きな危機に直面しています。それが、自動化の進展と深刻な人手不足です。






