沖電気工業 常務理事 イノベーション責任者 デジタル責任者 兼イノベーション推進室長の藤原雄彦氏(撮影:榊水麗)
沖電気工業(以下、OKI)が、全社員参加型のイノベーション活動「Yume Pro(ユメプロ)」を推進している。新規事業の創出だけでなく、製造や間接部門の業務改善もイノベーションと捉え、企業文化そのものの変革を図る。活動の基盤にあるのは、イノベーション・マネジメントシステムの国際規格「ISO 56001」に準拠したプロセスだ。一連の取り組みの狙いについて、常務理事 イノベーション責任者 デジタル責任者 兼イノベーション推進室長の藤原雄彦氏に聞いた。
社内の業務改善も「イノベーション」と位置付ける理由
――沖電気工業(OKI)のイノベーション活動では、新規事業の創出だけでなく既存事業の改革、業務の改善もイノベーションと見なしています。その意図は何ですか。
藤原雄彦氏(以下、敬称略) 当初はイノベーション推進の対象を新規事業に絞っていましたが、その結果、既存の事業部門から活動が切り離され、本社や製造の現場では「新規事業はイノベーション部隊が考えること」という空気ができてしまいました。
当社のイノベーション活動は、単に新規事業を生み出すだけでなく、企業文化の変革も大きな目的でした。ただお客さまの注文に応じる「受注型」の企業から「提案型」の企業に生まれ変わろうと、社長が先頭に立って改革を進めており、イノベーション活動をそのドライバーにしたいと思っていました。
そのためには、一部の社員だけが担うのでは意味がありません。開発部門や工場など、既存事業の領域における改革・改善もイノベーションとして認める方針に切り替えました。
また、間接部門の業務改善でも大きなインパクトを生むものは、イノベーションと見なすべきだと考えました。そこで、新規事業の創出、既存事業の改革、業務の改善という、社内の全ての仕事を対象に、イノベーション活動を展開するに至りました。






