JFEスチールDX戦略本部 DX企画部長の廣山和敏氏(撮影:宮崎訓幸)
DXを全社方針として掲げるJFEスチールは、ものづくりの現場で「インテリジェント製鉄所」の実現に挑んでいる。長年の操業で蓄積された膨大なデータを武器に、サイバーフィジカルシステム(CPS)を駆使して、匠の技のデジタル化と自律的な操業を目指す。具体的な施策と成果についてDX戦略本部DX企画部長の廣山和敏氏に話を聞いた。
蓄積された膨大なデータを競争力に
――JFEスチールは「積極的データ活用(データドリブン)により、競争優位を獲得する」を全社方針に掲げ、DXを推進しています。データ活用に重点を置いているのはなぜですか。
廣山和敏(以下、敬称略) 長い生産活動の歴史の中で、さまざまなノウハウが蓄積されてきており、JFEはいわばデータの宝庫です。製造業の中でも、特に早い時期からデジタル化を進めてきたため、デジタル化されたデータが数多く蓄積されているのです。
もともと製鉄所のように非常にダイナミックで規模も大きいシステムは、人の力だけでは制御できない部分が多いため、早くから自動化が進められてきました。昔はアナログの基盤の上でモーターやシリンダーを動かしていましたが、1980年代くらいから、まずは生産計画のような上流工程に計算機が導入され、やがて実際にモノを作る製造現場の制御もデジタルへと移行し、自動化がさらに加速しました。
この膨大なデータは他社にはない当社の強みであり、最大限に活用して競争優位性を確立していきたいと考えています。






