レゾナック・ホールディングス 代表取締役社長CEO髙橋秀仁氏(撮影:榊水麗)
機能性材料メーカーのレゾナック・ホールディングスは、これまで大規模な事業ポートフォリオ改革を進めてきた。16の事業を売却し、同社が成長領域と定める「半導体・電子材料」に経営資源を集中させている。しかしこの改革をリードする髙橋秀仁社長は、企業にとって戦略は“汎用品”であり、「本当の差別化要素になるのは人」だと話す。事業と人、両面で進める同社の改革について同氏に聞いた。
「半導体・電子材料」の割合を50%以上に
――レゾナック・ホールディングス(以下レゾナック)では、この3年半で16事業、2000億円以上の事業売却を行い、事業ポートフォリオのスリム化を進めてきました。この改革の進捗をどう見ていますか。
髙橋秀仁氏(以下敬称略) 事業ポートフォリオのスリム化は、おおむねめどが付いてきました。私たちは機能性材料メーカーであり、その中でも「半導体・電子材料」事業の割合を高めようとしています。これまで売却した事業は、その戦略に適合しないものです。現在、石油化学事業のスピンオフ(分離・独立)も進めていますが、これも同様の理由からです。
この改革を終えると、将来的に半導体・電子材料の売上高が約1兆円、グループ売上高の半分以上になると考えています。収益性の指標となるEBITDAマージン(※)は約20%に上がると想定しています。
※企業の売上高に占めるEBITDAの割合を示した指標。EBITDAとは、税引き前利益に支払利息・法人税・減価償却費などを加えた値のこと
私の仕事は「企業価値の最大化」であり、株価を上げることです。1兆円×20%=2000億円に対して、市場がどれだけの“倍率”で評価してくれるか、いくらの株価を付けてくれるか。その倍率を上げるために説得していくことになります。当社の株価は3000円台(2025年6月取材時点)ですが、私が目指しているのは株価1万円です。






