PayPay銀行 代表取締役社長の田鎖智人氏(撮影:榊水麗)

 PayPay銀行の口座数が、2025年4月に900万を突破した。2021年4月のジャパンネット銀行からの名称変更前は約563万口座だったが、4年間で約340万口座を積み上げた。PayPayのブランド力やPayPayアプリからの送客効果、従来のネット銀行の常識を覆す取り組みなどが功を奏したが、一方で預金残高では他行に大きく水を開けられており、「成長の歪み」も抱える。真の金融プラットフォームへの転換はなるか。同社の田鎖智人社長に話を聞いた。

ブランド変更の大成功

 2025年4月、PayPay銀行はPayPayの完全子会社となり、資本構成を一新した。LINEヤフーの国内金融中間持株会社であるZフィナンシャルが保有していたPayPay銀行の普通株式およびA種優先株式をPayPayが取得し、議決権比率で46.57%(A種優先株式転換後は75.28%)を握る体制となった。名称変更から4年を経て、同行は第2ステージに入ったと言える。

 口座数は2025年4月に900万を突破。2025年5月末時点で1700万口座の楽天銀行に次いで、ネット銀行業界で2位につけている(3位は3月末で825万口座の住信SBIネット銀行)。

 口座数増加の大きな原動力となったのが、PayPayブランドへの名称変更だ。田鎖社長は「ブランドの認知拡大で大きな成果があった」と振り返る。