経済同友会 企業のDX推進委員会 委員長 上野山勝也氏(左)、鈴木国正氏(右)(撮影:榊水麗)
2025年4月、経済同友会「企業のDX推進委員会」は政策提言「不確実性とAI~進化と適応の新時代へ~」を発表した。AIの急激な進化を“俯瞰的”に捉えながら、企業、政府、個人がAI時代にいかに対応すべきかを提言している。なぜ今、こうした提言をまとめたのか。提言の背景と、その土台にある「時間」と「空間」という2つの俯瞰軸について、委員長を務める上野山勝也氏と鈴木国正氏に聞いた。
提言として残し、アップデートしていくことに価値がある
――経済同友会「企業のDX推進委員会」は、2025年4月にAIに関する政策提言「不確実性とAI~進化と適応の新時代へ~」を発表しました。どのような背景や経緯があったのでしょうか。
鈴木国正氏(以下、敬称略) 企業のDX推進委員会では、約2年間にわたりDXの定義や進め方について議論を行っており、提言も発信してきました。今、DXを推進するためにはAIが不可欠という認識は定着していますが、AIをもっと深く理解しなければいけないという議論は、1年半ぐらい前から始まっていました。
当委員会の3名の委員長として、ここにいる上野山さんと、デジタルガレージ取締役の伊藤穣一さんというAIを深く理解している2名、そして経営の視点で私が入り、委員会の議論をリードしてきました。さらにパナソニック コネクト代表取締役の樋口泰行さん、元NTT代表取締役副社長の川添雄彦さん、マッキンゼー シニアパートナーの野中賢治さん、そしてインテル代表取締役社長の大野誠さんにも議論に加わっていただき、議論を重ねてきました。
こうした積み重ねの成果は、社会的にも非常に意味のあるものだと考え、企業、政府そして個人に対しての提言という形で、広く発信しようということになりました。上野山さんが総まとめをしてくださり、2025年4月の公開に至ったという経緯です。
上野山勝也氏(以下、敬称略) 企業のDX推進委員会でデジタルをどう捉えるかという議論をしてきた中で、「AIは、デジタルが進化したものだ」という共通の理解が生まれました。つまり数年後には、現在、私たちが「デジタル」の話として語っていることは、全てAIそのものの話になっていくということです。







