ルネサスエレクトロニクス CHROの中西詩絵氏(撮影:榊水麗)
2017年以降、欧米を中心に9社の半導体関連企業を買収したルネサス エレクトロニクス(以下ルネサス)。グローバル企業へと転換する中で、多様な人を生かす人事戦略の重要性が増している。こうした中、同社では2025年1月に中西詩絵氏がCHROに就任した。同氏は、米トップ半導体企業のマイクロンテクノロジーで人事を務めてきた人物である。新天地で何を目指すのか。詳しい話を聞いた。
「マイクロンになること」を受け入れてもらうために
――中西さんは今年1月にルネサスに参画しましたが、それ以前は25年以上マイクロンテクノロジーに在籍し人事領域を担ってきました。同社に在籍する中での大きな出来事として、エルピーダの統合が挙げられると思います。NECと日立製作所という、日本の大手企業を源流に持つエルピーダが会社更生法の適用を受け、米企業に買収されたのは当時大きなニュースとなりましたが、統合を進める上では難しい部分もあったのではないでしょうか。
中西詩絵氏(以下敬称略) 日本人である私が担当することで、当初はスムーズに事を進められるのではないかと思っていました。日本語でコミュニケーションが取れ、文化も分かります。しかし、いざ始まると非常に難しい作業でしたし、職場の皆さんに受け入れていただくにも時間がかかりました。「何をしに来たんだ」と拒否反応を示されてしまったこともあります。悲しい思いも、悔しい思いもたくさんしましたね。
この状況下では、まず私自身を認めていただく必要があり、そのために自分の価値を発揮していかなければならない。そんな思いで統合を進めました。
このプロジェクトが本当の意味で完了するまでには、つまり、会社の文化も共通言語も1つに統一し、全員が同じ価値観を共有するには、4、5年の歳月を要しましたね。
――どのようなプロセスで統合を進めましたか。






