文=のかたあきこ 写真=星野リゾート

中庭にある足湯は朝日が差し込むスポット。天気がよければアカンダナ山が眺められる

湯量豊富な温泉を心ゆくまで

 界 奥飛騨は2024年9月、奥飛騨温泉郷の入り口・平湯温泉に開業した。標高3000m級の北アルプスの山々に囲まれる大自然の中にありながら、新宿発の高速バスなら約4時間で直行できる。降車地の平湯バスターミナルは標高約1250m、温泉郷の拠点として、また乗鞍・上高地観光の中継地として、いつも旅行者で賑わっている。界 奥飛騨はバスターミナルから歩いて5分ほどにある。

山々に囲まれるロケーション。平湯温泉は奥飛騨温泉郷の中心にある

 宿は山岳地らしい傾斜地に、4つの棟(東と西の客室棟、湯小屋棟、離れ)が点在する。敷地の中心に湯の川が流れる庭園が広がり、植栽も様々だ。春の新緑、夏の青葉、秋の紅葉、冬の雪景色など、季節の彩りを愛でながら散策が楽しめる。庭園には足湯もあり、活火山のアカンダナ山を眺めながらくつろげる。

巨石を配した中庭には湯の川が流れる。湯けむりが温泉情緒を盛り上げる

 奥飛騨温泉郷は全国屈指の湯量を誇り、毎分37,000ℓにも及ぶ。宿では湯守りによる「温泉いろは」が毎日開催され、ゲストは歴史や泉質、効果的な入浴法などを学べる。奥飛騨温泉郷全体には100以上の源泉があり、単純泉、硫黄泉、炭酸水素塩泉、塩化物泉などの泉質を楽しむことができるという。

夜の大浴場露天風呂。見上げると星空が広がりロマンティックだ

 3本の源泉を所有し、泉質はナトリウム・カルシウムー炭酸水素塩・塩化物泉。体の芯まで温まる、美肌の湯だ。内風呂には「あつ湯」と「ぬる湯」の浴槽があり、交互に入浴することで代謝が高まる。内湯に続く露天風呂は、豪雪地・奥飛騨で見られる「雪の回廊」をテーマにしたデザインが施されている。四方は白壁で、頭上が開け、日中は青空、夜は星空が広がり感動的だ。