写真提供::日刊工業新聞/共同通信イメージズ、共同通信社

 価格高騰の今、消費者から支持を集めているのがプライベートブランド(PB)商品だ。セブン&アイ・ホールディングスとイオンは、PB売上がともに1兆円を超え、他社も続々と拡大中。小売企業各社の戦略や特徴、メーカーとの関係、PBの現在地と行方を、流通専門誌『激流』の加藤大樹編集長に聞いた。

セブン&アイ、イオンのPB売上が1兆円を突破

――小売各社のプライベートブランド(PB)商品の売れ行きが非常に好調のようです。どのような背景があるのでしょうか。

月刊激流

1976年、製配販にまたがる流通業界の専門誌として創刊。スーパー、コンビニエンスストア、ドラッグストア、百貨店など、小売業の経営戦略を中心に、流通業の今を徹底的に深掘り。メーカーや卸業界の動向、またEコマースなどIT分野の最前線も取り上げ、製配販の健全な発展に貢献する情報を届ける。

加藤大樹氏(以下敬称略) 2024年度はセブン&アイ・ホールディングス(HD)のPB商品の売り上げが、初めて1兆5000億円を突破しました。イオングループのPB商品「トップバリュ」も1兆983億円に達し、前年度比で8.3%も伸びました。

 この2社が圧倒的な2トップですが、それ以外でも全国のスーパーの協業組織であるシジシージャパンもPB商品の売上が前年度比7%増、トライアルHD(トライアル)は58.8%増、ライフコーポレーションが6.4%増となるなど、軒並み売り上げを伸ばしています。もはや伸びていない企業を見つけることの方が難しいのではないかと思えるほどの隆盛ぶりです。

 今、流通・小売業界は、価格競争やコスト高に苦しんでいる状況です。そうした中で大きく売り上げを伸ばしているPB商品は、「恵みの雨」ともいうべき存在になっています。

 その背景にあるのは、現今の物価高です。とくに食品は、パンから調味料、牛乳、菓子などほとんどの商品で値上げが相次いでいます。一般的に、PB商品の価格はナショナルブランド(NB)商品より2~3割安く、値上げのタイミングもPB商品の方が遅れがちです。物価高にあえぐ消費者がPB商品に手を伸ばすのも、自然な流れと言えるでしょう。