大谷 達也:自動車ライター

掟破りの高速走行

「できるだけゆっくり進め」

 ランドローバーの国際試乗会でオフロードを走るとき、決まってそう指示される。

 路面が大きく波打つ荒れ地を速く走れば、ボディーが大きく上下に揺れて車体の底を路面に打ち付ける可能性が高まる。もしもその衝撃でクルマがダメージを受ければ、最悪の場合、走行不能となるが、人里離れた場所でそんな事態に巻き込まれれば、まさに命取りになりかねない。だからランドローバーのインストラクターたちは、オフロードで「できるだけゆっくりと進め」と私たちに説いてきたのである。

 しかし、南アフリカを舞台に行われたディフェンダーOCTAの国際試乗会では、大きく様子が異なった。路面が硬く引き締まったダート路を、「これでもか!」というくらいのペースで飛ばし続けたのである。

 なぜ、ランドローバーのインストラクターは、長年、守り続けてきたルールをここで破ったのだろうか?