ポイントは、初期導入から共に歩んできた社内チャンピオン(顧客側のサービス導入推進の協力者)と連携することです。第1回記事でも述べたLand&Expand戦略(小さく導入し、その後に収益を拡大していく戦略)を採用しているのであれば、既に小規模導入している部門が存在するはずです。多くの場合、その部門での成功体験を基に、大規模案件へと発展していくため、まずはその部門における Quick Win(初期段階における成功実績)を数値化していくと良いでしょう。

 もし、チャンピオンが大型商談の社内稟議を通す難しさを経験する前の段階であれば、営業担当者からレベル3の数値化の必要性を積極的に訴求していくべきです。

 具体的には、「競合製品を推す役員への反論材料」「購買部からの価格交渉への対応」など、チャンピオンが稟議を上げていく中で直面するであろう課題に対して、具体的な数値を用いながら解決策を提示することが重要です。このように、チャンピオンと共に数字をつくり上げていくプロセスこそが、大型案件獲得の鍵となるのです。

② Mutual Close Planの作成

 SFAのフォーマットにはない、大型商談を成功に導くための強力なツール、その2つ目がMutual Close Plan(商談をクロージングに持って行くプラン)です。

 契約締結日を期末や年度末までに確実に守るためには、想定外の事態への備えが不可欠です。大型商談では、秘密保持契約の修正に予想以上の時間を要したり、取締役会承認後の捺印リレー、最終的な社長捺印の手続きなど、様々なハードルが想定外のタイミングで出現します。

 Mutual Close Planは、こうした事態を未然に防ぐための、顧客との共同作業と言えるでしょう。契約締結までのスケジュールと必要なアクションを、営業側と顧客側双方でリスト化し、共有・管理することで、スムーズなプロセスを実現します。

 顧客との信頼関係構築を可視化するツールとしても、Mutual Close Planは有効です。その作成は、顧客との強固な信頼関係の証と言えます。

Week3の大型商談案件レビューでは、Mutual Close Planを用いることで、企業として取るべきアクションを明確化し、確実な四半期目標達成を目指します。

<連載ラインアップ>
第1回 BtoBのサブスク製品は、なぜ2本以上売った方が解約率が低いのか?
■第2回 大型案件の獲得に欠かせない「BANT情報」と2つの「例外レビューポイント」とは?(本稿)
■第3回 狙った顧客を「あるべき姿」へ導いて売上増を実現、顧客攻略のための「5つの営業アクション」とは?(1月7日公開)
■第4回 安定した売上目標達成に向けて、営業リーダーが押さえておくべき「予測」のポイントとは?(1月23日公開)
■第5回 「数字から逃げない」強いチームの営業リーダーが、いつも大切にしている「3つのこと」とは?(1月30日公開)
■第6回 「マネージャーのマネージャー」は、なぜ強面役を演じなければいけないのか?(2月6日公開)

※公開予定日は変更になる可能性がございます。この機会にフォロー機能をご利用ください。

<著者フォロー機能のご案内>
●無料会員に登録すれば、本記事の下部にある著者プロフィール欄から著者フォローできます。
●フォローした著者の記事は、マイページから簡単に確認できるようになります。
会員登録(無料)はこちらから