長年にわたって作られてきた定番品は、“当たり前”の良さを持っている。誰もが日常的に使えて、しかも品格あるスタイル作りの役に立つ。そして流行にとらわれず、末長く愛用できるところも魅力的。なかでも独自の哲学を込めつつ、素材や製法にもこだわりを尽くした真のマスターピースを紹介する。

写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川剛 編集/名知正登

革の重厚な質感が軽装に貫録を添えてくれる

 暑い季節は薄着になるもの。であれば足元も軽装にスイッチするのは当然だ。そこで多くの人から選ばれている一足がサンダルである。素足で履けて風通しも良く軽快に履けるサンダルは、春夏に持っておくと非常にユーティリティなアイテムだ。

 しかしTシャツとある意味同様で、簡素なアイテムだからわざわざ吟味しなくてもよい、と考えてしまう人が意外に多いもの。正統派ファッションの要として本格ドレスシューズが重要であるのと同じく、カジュアルな軽装であっても足元は非常に大切なポイントである。ひと手間掛けた逸品サンダルを選ぶことで、夏の装いに洒落た大人の貫録を加えることができるのだ。

 特に成熟した男性が履くべき一足としておすすめしたいのが、レザーをメイン素材に用いたサンダル。革は布帛やビニールなどに比べ、自然な光沢と重厚感をもつ素材であり、廉価なビーチサンダルやPVC製サンダルなどよりも圧倒的な品格を放つのが魅力だ。いわゆるレザーサンダルであるが、現在はそのバリエーションも多岐にわたっている。スラックスなどドレッシーな装いにマッチするものから、流行りのスポーティーカジュアルを格上げするもの。そして夏の軽装に個性を添えるテクニカルなものなどなど。なかでも特に厳選した名品と呼べる最“涼”の5足を紹介したい。

 

1. Paraboot

サンダル¥55,000/パラブーツ(パラブーツ青山店)

大人の装いにマッチする厚革三連ストラップ

 フランスにおけるトラッドシューズの雄として知られるパラブーツ。伝統的なドレスタイプをメインとするブランドだが、カジュアルなサンダルもリリースしている。

 新作の「ウーベア」は三連のレザーストラップが安定感あるホールド性をもちつつ、風通しの良さもしっかり味わえるデザイン。微調整可能なヒールストラップ付きゆえに、シーンに合わせたテンションにて留めることが可能。クラシカルな味わいを持つストラップ式であるが、ソールにはコンフォートシューズにも用いられる同社独自のスポーツソールを装着。クッション性や屈曲性に優れており、スニーカーのような履き心地が味わえる。

 天然レザーの質感を活かしたワントーンデザインは、非常にシックで落ち着いた印象を醸し出している。ショーツはもちろんスラックスの装いにも上品に合わせられる。