長年にわたって作られてきた定番品は、“当たり前”の良さを持っている。誰もが日常的に使えて、しかも品格あるスタイル作りの役に立つ。そして流行にとらわれず、末長く愛用できるところも魅力的。なかでも独自の哲学を込めつつ、素材や製法にもこだわりを尽くした真のマスターピースを紹介する

写真/青木和也 スタイリング/荒木義樹(The VOICE) 文/長谷川剛 編集/名知正登

専業ブランドゆえの研究・開発が生み出す至極の心地良さ

 お洒落とは即ち常に自分らしくあることだ。虎の威を借りるようなスタイルでは、結局いつか馬脚をあらわすこととなる。自分らしく自然体かつ堂々と。それには完全にフィットした、心地良い状態作りが前提となる。ゆえに肌に接するアイテムから吟味を始めることが肝心と知るべきなのだ。上半身に纏う肌着もそうであるが、これから暑さや湿度が増す季節において、アンダーショーツの存在はかなり大きい。大事な部分に不快感を溜め込んでいては、どこか浮き足立った振る舞いになってしまうからだ。

 真にフィットし心地良い素材使いや縫製がなされた名品アンダーショーツは、常に自信を持って過ごすために是非揃えておきたい。余裕にあふれた振る舞いこそが接する人に信頼感を抱かせ、ひいては好印象をも形作るのである。うわべを飾るよりも、よっぽど実利が得られる上質下着の妙。

 そこで今回は名品と呼べるアンダーショーツのなかでも、特に履きやすさで人気のボクサータイプをピックアップ。独自の形状やフィット感、長時間肌に触れても不快感を引き起こさない厳選の原料及び機能素材の開発に加え、長年のノウハウから編み出された縫製テクニックが駆使された下着専門ブランドの自信作は、手に入れて良かったと心から実感できる確かな価値がある。

 

1. SUNSPEL

ボクサーパンツ¥10,120/サンスペル(サンスペル カスタマーサービス)

エレガントな快適さの秘密は独自コットン素材にあり

 1860年、英国ノッティンガムにて創業したサンスペル。当時からカシミヤやシルク、シーアイランドコットンなどの高価な素材を用いたアンダーウエアを製造し続けている。ブランド黎明期から人気を獲得できたのは、快適素材を作り出す名手であった創業者のトーマス・ヒルの存在が大きい。

 写真の「セルラーコットン ワンボタンショーツ」もトーマスの孫であるピーター・ヒルが考案した独自素材が大きなポイント。ノッティンガム地方に伝わるレース編み機で作るセルラー素材は、しなやかにして耐久性を備え、こだわりの編み方がもたらす優れた通気性に特長がある。 

 さらに着用時のストレスを軽減させるため、バックパネルを追加し立体感をプラス。さらに極力ステッチラインが肌に当たらない縫い方を採用するなど、全方位において快適尽くしを貫いている。

 昨今はコストの問題から生産をアジアに移す競合が増えるなか、サンスペルは英国、ロングイートンの自社工場にて厳格な一貫生産を続ける真の老舗である。