みんなが大好きなおかずが並ぶ
朝食は朝10時半までの限定。定食は開店からランチをはさんで14時までだが、売り切れごめん。イートインのほかにお弁当の販売もあって、こちらも大人気。頼まれて仕出し弁当を作ることもある。夜はちょいのみできるおつまみも用意する。
化学調味料などは使用せず、味付けはシンプル、野菜たっぷりで栄養満点。唐揚げ、油淋鶏、チキンカツ、豚バラ玉ねぎしょうが焼き、肉団子。みんながぜったい大好きなおかずがインスタに上がると、食べたい気持ちに火がついて、引き寄せられてしまうのだ。
夜の営業もあり、会社帰りにサッと飲みたい人や夕ご飯の需要も多いとか。とくに晩酌にぴったりのつまみがまたいいのだ。この日は鰯の生姜煮があった。大きな鰯は骨まで食べられるようにじっくりと炊き上げ、目の前に出されるとふんわりと香る生姜が食欲をそそる。
「こういうものは焦ったら失敗します。じっくり、ゆっくり煮ないといけません。急いでいるときや慌てているときほど、自分を落ち着けてくれるので、焚きものが好きなんです」。
家庭ではここまで丁寧に手をかけて食事を作るのが難しい時代だからこそ、『キッチンくじら』の料理が染みる。
通ってくるのは地元の人ばかりかと思えば、素朴な朝食を目当てにやってくる観光客もいるという。そんな時は手が空いていれば、野村さんに京都案内を聞いてみるのもいいだろう。
店を始める前、野村さんは神社仏閣の装束などを扱う会社で働いていたのだ。そこで京都の神社やお寺にも詳しい。
季節の見どころや混んでいるから外したほうがいいなど、地元ならでは情報が聞ける。
「今日、どうする?」。そんな時は京都ガイド付きの朝ごはんを食べてのんびり散歩に出るのも悪くない。