撮影:野口 さとこ 文:沢田 眉香子
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年間を通して観光客で混み合う京都だが、おすすめしたい混雑回避の超裏技がある。それは「ホテルから出ず、まったり過ごす」こと。それだと旅行に行った意味がないと思われるかもしれない。しかし、京都には、それを目的に滞在したいほどの名庭を誇るホテルがいくつもあることをご存知だろうか?
京都の数ある文化コンテンツの中でも、特筆すべきものが庭園だ。千年ものあいだ文化と政治の中心であったこの地では、平安貴族から武将、近代の豪商まで、富と権力を手にした人たちが、競うように庭をつくった。現在、そんな名庭がラグジュラリーホテルに受け継がれている。
宿泊すれば、居住空間から贅を尽くした庭を眺めるという、かつて特権階級だけに許された楽しみを体験することができる。これは混雑回避の秘策であり、かつ、京都の庭文化を堪能する、極上の時間の愉しみ方だ。
『京都 もてなしの庭』(青幻舎)などの著書がある、庭園デザイナー烏賀陽百合さんのおすすめをうかがった。
平安貴族の池泉庭園、800年の時間を感じる雅を体感
フォーシーズンズホテル京都
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京都の庭の歴史は、平安貴族が邸宅に設けた「池泉の庭」から始まった。
邸宅は自然を模した庭とともに営まれた。その庭には池や川をつくり、船遊びや月見に興じた。平安時代末期に、平重盛の別邸「小松殿」の園地として作庭されたと言われる「フォーシーズンズホテル京都」の池泉回遊式庭園「積翠園」は、そんな雅を今に伝える庭だ。約20,000㎡の敷地に広がる3,000㎡の池は、王朝絵巻が目に浮かぶようだ。
その池には、いにしえ人の思いを伝える遺構もある。「池の中に、直線上に配置された石があります。これは蓬莱島にやってきた船が夜に停泊している様子をあらわした、夜泊石といいます」(烏賀陽さん)。
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池の中に、不老不死の仙人が住む、中国の伝説の島・蓬莱島が見立てられている。レストランの店内から10メートルの高さの窓を通してこの広大な庭を鑑賞できるほか、テラスで水辺に寛ぐこともできる。日没後、池を挟んで建つ茶室ラウンジ「楓樹」でシャンパングラスを傾けるもいい。
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フォーシーズンズホテル京都
京都府京都市東山区妙法院前側町445−3
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