日本人に合わせ、軽やかなテイストに仕上げたフレンチトースト
高級店で繊細なお菓子を作ってきた寺田さんだが、本来は何を食べているかが明確にわかるシンプルなお菓子が好きだとか。そこでカフェではあえてシンプルなものを出している。
中でもカフェの看板メニューは、オテル・リッツ・パリのメニューにもあったフレンチトースト。寺田さんもそのフレンチトーストが大好きだったそうで、思い入れも強い。でもオテル・リッツ・パリそのままではなく、日本人に合わせて軽やかなテイストにアレンジしている。
オテル・リッツ・パリでは、パンはバターがリッチなブリオッシュ、濃厚な生クリームもたっぷり使う。でもここでは生クリームは牛乳に、ブリオッシュは食パンに変えてトータルで軽やかに食べられる工夫をした。焼き方もオテル・リッツ・パリがフライパンなのに対して、オーブンで仕上げるため、よりふんわり感が増している。仕上げにザラメをパラリと散らして小気味よい食感も加え、ふんわり、しっとりの絶妙のバランスを作り上げた。
フレンチトーストに食パンを使うきっかけとなったのが、パリから戻って家族のために作ったフレンチトーストだった。ブリオッシュが手に入らなかったため、高級食パンで作ったところ、これが家族に大好評。そこからヒントを得て、どんどん進化させたのが現在のスタイルなのだ。
またカフェで出す飲み物も魅力的。自家製ドリンクやハウスカクテルなどもあり、ここでしか味わえないものが用意されている。
観光客が少ない冷泉通りにあるカフェは、地元の人がふらりと来てくれる自然体なムードがいい。コーヒーやワインを一杯だけ、自家製カヌレとシャンパーニュで贅沢なおやつなど、楽しみ方は気分次第。これからの気持ちのいい季節はテラス全開で、ますますのびのびした空間になっている。
生活の一部として機能するパリのカフェのように、ひと息ついて自分らしい時間を持てる場所。そんな京都のカフェへ足を運んでみたい。