【藤原道隆、道兼ゆかりの地】

●豊楽院

 平安京大内裏の朝堂院の西にある一角。節会や大宴会が行なわれた。

『大鏡』には、藤原道隆、道兼、道長の三兄弟は、五月下旬の、気味悪く大雨が降る夜に、花山天皇から肝試しを持ちかけられる説話が載っている。

 そのとき、道隆は豊楽院、道兼は仁寿殿の塗籠、道長は大極殿まで行くように命じられたが、道隆は得体の知れない声を聞き、途中で引き返した。

 

●仁寿殿

 平安京内裏の中央にあった建物。もとは天皇の御座所。のちに、内宴や相撲などを行う場所となった。

 前述の肝試しにおいて、道兼は仁寿殿の東側の敷石の辺りに、軒に届くほど背が高い人が立っているように見えて、やはり引き返している。