娘は清少納言が仕えた、中宮藤原定子
道隆と貴子との間には、三男四女の子が誕生している。
そのなかで、高畑充希が演じる長女の藤原定子(976~1000)は、正暦元年(990)正月、15歳のときに、塩野瑛久が演じる一条天皇(980~1011 在位986~1011 /円融天皇と吉田羊が演じる藤原詮子の子)の後宮に入内し、同年10月に一条天皇の中宮となった。
当時、一条天皇は11歳。定子より4歳年下であった。
定子は天皇に寵愛され、その生活は定子に仕えた、ファーストサマーウイカが演じる清少納言(生没年不詳)の『枕草子』に描かれている。
『枕草子』には、道隆も何度も登場している。才気溢れる清少納言を定子の側近としたのは、道隆だともいわれる(繁田信一『殴り合う貴族たち』)。
死因は酒の飲み過ぎ?
道隆は無類の酒好きだったと伝えられる。
車中で飲み仲間の藤原済時(941~995)、藤原朝光(951~995)と痛飲し、酩酊して、簾を上げて冠を脱ぎ、髻を人前に晒した。
また、下鴨神社では、素焼きの杯で御神酒を3杯飲むのが定例だが、道隆の酒好きを知る神主・禰宜は、特大の杯に酒をついで差し出した。
道隆はそれを7、8杯ほども飲み、上賀茂神社へ参拝に向かう途中で、車の後の方を枕に、眠り込んでしまったなど、『大鏡』には、道隆の酒にまつわる説話が綴られている。
道隆は疫病が大流行した長徳元年(995年)に43歳で死去するが、死因は疫病ではなく、酒の飲みすぎによる病だった。
亡くなる直前に、念仏を唱えるように勧められると、道隆は「済時、朝光なども極楽に往生しているだろうな」と飲み友達の名を口にしたことが、『大鏡』には記されている。
きっと極楽でも三人で、飲み明かしていることだろう。