大御所から注目株まで、ロビーの梨園の妻たちは必見
「歌舞伎座のロビーは、役者の妻たちの舞台でもあります」
ロビーの左右には、役者の一門がテーブルを出している。そこにやってくるご贔屓たちに、挨拶するのは、梨園の女性たちの大切な仕事だ。
「尾上菊五郎(81歳)夫人の富司純子さん(77歳)、松本白鷗(81歳)夫人の藤間紀子さん(78歳)などは、昔からおきれいで有名です。なんといっても皆さん、着物の着こなしが天下一品。上品な色使い、控えめの柄ゆき、季節は少し先取りするのがお約束で、その美しさにほれぼれします。
三田寛子さん(57歳)、藤原紀香さん(52歳)など、タレントから梨園の妻となった女性たちも、着物の着こなしを必死に学んだことでしょう。
歌舞伎座のロビーは、日本の着物文化のひとつの頂点を見られる場です」
役者の妻たちにとって、着物は戦闘服。夫たちが舞台でしのぎを削る一方で、妻たちは一門を支えて戦っている。
11月の歌舞伎座公演「歌舞伎座新開場十周年 吉例顔見世大歌舞伎」(11月2日~25日、休演10日、20日予定)のロビーでは、その富司純子さん、藤間紀子さんの着物姿を見られる可能性が高いという。
インドエンターテイメントの源流を歌舞伎に置き換えた、昼の部「マハーバーラタ戦記」は富司純子さんの息子、尾上菊之助(46歳)が主演。夜の部「顔見世季花姿繪(かおみせづきはなのすがたえ)」の「春調娘七種(はるのしらべむすめななくさ)」では、藤間紀子さんの孫で、若手のなかでも高い人気を誇る市川染五郎(18歳)が華やかに舞う。