子供のころに比べ、大人になると「新しいこと」に出会わない気がする。成長するにつれ、さまざまな経験を積むからか。それとも、新しいことに挑戦しなくなるからなのか。

 大人になっても「新しいことに出会ってワクワクしたい!」

 と、いうことで、大人でも楽しめる&ワクワクする体験をひたすら探す松宮。

すると、最近「大人の社会見学」が話題を集めていると知る。中でも日本航空株式会社が開催する「JAL工場見学(JAL SKY MUSEUM)」が人気らしい。問い合わせると、運よく取材OK。

 大人気の工場見学とは、どんなものなんだろう。実際に体験してレポートすることに!

予約殺到!JAL工場見学へ

 取材当日。浜松駅から東京モノレールに乗り、会場がある新整備場駅へ。車内には大きなスーツケースを持った人々ばかり。きっと、羽田空港に向かうのだろう。
なんだか、自分も旅に行くような気分に。

 20分ほどで新整備場駅に到着。階段を上りきると、左手に羽田空港の滑走路が広がり、巨大な飛行機が!迫力あるエンジン音が聞こえる中、写真を撮る人や飛行機を眺める人の姿を見ると、さらに胸が高まる。

 徒歩数分で会場の「JAL M1ビル」に到着。

1階受付で入館証を受け取り、工場見学の会場へ!

 「JAL工場見学」は全部で約110分。ミュージアム体験(航空教室30分・展示見学30分)と格納庫見学(50分)に分かれている。ガイドは機長や客室乗務員、整備士、グランドスタッフの経験者が行う。ガイドを務めるスタッフは30人ほど。日替わりなので、誰が担当するかはお楽しみだ。

ガイドは航空業界のスペシャリスト

今日のガイドは元整備士の宮田和人さん

 宮田さんは東京出身。飛行機に興味を持ったのは、「札幌旅行がきっかけ」。工業高校を卒業後、日本航空株式会社に入社。整備士として現場や教育を担当し、マレーシアで4年駐在するなど海外勤務も経て、60歳まで42年間勤め上げた。ちなみに、現場と教育を両方担当するのは「めずらしい」とのこと。定年後は再雇用により、シニアスペシャリストとして勤務している。飛行機の魅力は「整備をすればしただけかえってくること」だそう。

 現在62歳という宮田さん。飛行機や整備、自身の経歴を話す姿はとても若々しい!
「話すのが苦手」と言うが、思わず聞き入ってしまう。

 まずは「航空教室」に移動し、いよいよ「JAL工場見学」がスタート!

航空業界について学べる「航空教室」

「航空教室」では、ガイドから航空機の仕組みや羽田空港について学ぶ

 日本航空株式会社は1951年に創業した。創業間もない1950年代半ばには、社会貢献と航空業界への理解を広めるべく、工場見学をスタートしたという。つまり、約70年前から工場見学を行なっているのだ。すごい!

 「JAL工場見学」では航空業界のスペシャリストがガイドを務め、ミュージアムや格納庫を見学できるという充実ぶり。しかも無料で楽しめるとあって、大人気だ。見学者は年齢を問わず、子供から大人まで。リピーターも多い。

ショップでゆっくり買物をしたい人は航空教室の前に立ち寄るのがおすすめ。ちなみに人気のお土産ランキングは1位:ですかいシリーズ(うどん・そば・らーめん・ちゃんぽんのカップ麺4種セット)2位スカイミュージアム特製定規 3位:JALメモ用紙(写真:日本航空株式会社提供)

 コロナ前の見学者は年間およそ12万人。2020年3月~2022年4月は工場見学を休止していた。ただし、オンライン工場見学を開催し、視聴者はなんと6万人!2022年5月からは1回あたりの人数を減らし、開催している。

 見学日の一か月前に予約可能になるが、「枠は瞬時に埋まってしまう」。予約するコツはあるのだろうか。

 宮田さんによると「キャンセルもあるので、こまめにホームページをチェックするのがいい」とのこと。なので諦めずにチェックを!

「スカイランウェイ」で航空業界の仕事を知る

 「航空教室」で興味深い話を聞いた後は「スカイランウェイ」を見学。

滑走路をモチーフにした「スカイランウェイ」。羽田空港の滑走路と並行に設置されていると知り、びっくり!

 「スカイランウェイ」では、運航乗務員・客室乗務員・グランドハンドリング・グランドスタッフ・整備士の仕事をディスプレイで紹介している。実際に使用している道具も展示されているので、ついつい見入ってしまう。

このエリアには、QRコードリーダーが7台設置されている。入館する際にもらったゲストカードをかざすと、仕事にまつわる7種のトリビアが表示されるので、答えてみよう

 7つすべてコンプリートすると、子供のみだが「シールがもらえますよ」と宮田さん。トリビアは子供だけでなく、大人も楽しめるものばかり。ぜひ、コンプリートを目指してほしい!

制服体験&コックピットに座ってパイロットに変身?!

 続いて「JAL工場見学」の人気スポット・制服体験へ。コロナの影響により休止していたが、取材を行う少し前の2023年4月22日に再開にしたそう。グッドタイミング!

 制服は5種類。運航乗務員・客室乗務員・グランドハンドリング・グランドスタッフ・整備士の制服がある。男性は180cmまで。女性は7~11号のサイズがあるそう。子供用は110〜160cmまでそろっているため、家族で記念撮影するのもおすすめだ。マジックテープ付きなので、子供でも簡単に着脱できる。ちなみに人気の制服は「男女ともにパイロット」。

と、いうことでパイロットの制服を選択。元・客室乗務員のスタッフがエレガントな身のこなしで手伝ってくれる

 「制服はすべて実際のものと同じ生地を使用している」という。実際に着てみると、(当たり前だが)学生時代に着ていた制服よりも、生地がしっかりしている感じ。格式高く重厚感がある。

 内容が盛りだくさんのため、残り時間が!急いで制服を脱ぎ、JTA737のフライトシュミレーターとして活躍したコックピットのモックアップ(実寸大の模型)へ。

コックピットのモックアップには無数のスイッチやボタンが!コックピットに座ると気分が盛り上がり、なぜか満面の笑顔に

 コックピットは車の運転席よりも狭い気がする。スイッチやボタンが無数にあるため、より狭く感じるのかもしれない。「無数にあるスイッチやボタンを覚えた上に、いつ何時も正確に使いこなすってすごい……」と、機長の偉大さを思い知る。

「アーカイブズゾーン」にある歴代の制服は必見!

 「アーカイブゾーン」は航空文化史を伝えるのがコンセプト。デジタル年表・歴代の制服・グッズ展示・モデルプレーンなどを見ることができる。

 中でも目を引くのは、ずらりと並んだ華やかな歴代の制服!歴代の制服は「後ろからも見えるように」と、通路の中に設置されているのがニクイ。流行によりスカート丈が変化しているのがわかる。見ていると、当時の流行もわかるので楽しい。

個人的に好きなのは、1970年代に作られたイエローとオレンジの制服。カラフル&レトロでかわいい!