年々猛暑が厳しくなり、万全な熱中症対策が必要な日本の夏。そんな真夏におすすめしたいのが、真夏でも涼しい栃木県宇都宮市の大谷(おおや)資料館です。

取材・文=TEAM GOKUH 取材協力=春燈社(小西眞由美) 写真=フォトライブラリー

大谷資料館採石場跡。まるで神殿のような神秘的な雰囲気 

建築家ライトが愛した大谷石の採掘場

 大谷石の採掘場跡を見学できる博物館「大谷資料館」は、宇都宮駅からバスで30分、車だと東北自動車道鹿沼インターから約20分(13km)ほどのところにあります。

広大な空間が広がる大谷資料館採石場跡

 大谷石は、栃木県宇都宮市大谷町付近一帯から採掘される、灰緑色系の凝固石です。かつては露天掘りでつるはしによって採石されていましたが、現在は地下数十メートルの石切場で、チェーンソーによって掘り出されています。

 大谷石は火に強く、1000度以上の熱にも耐えられ、また、とても軽くて柔らかく、加工もしやすいため、古くから建造物に使われてきました。現在は石仏や石塔、民芸品、建物の内外装材として幅広く用いられています。

 1905年に初来日し、日本の近代建築に大きな影響を与えたアメリカの建築家フランク・ロイド・ライトは、大谷石の風合いに大きな魅力を感じます。そして1922年、帝国ホテル本館を設計した際、大谷石を大胆に取り入れたのです。その結果、帝国ホテルは数あるライトの名建築のなかでも傑作といわれる建築物となり、大谷石も全国的に有名になりました。