歌川国芳の門下でともに修行に励んだ絵師、落合芳幾と月岡芳年。国芳の衣鉢を継ぐ者として名を上げた2人の絵師は、明治維新という時代の変革期において、何を感じ、どのように浮世絵と向き合ったのか。ライバル関係にあった2人に着目した展覧会「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」が東京・丸の内の三菱一号館美術館で開幕した。

文=川岸 徹 撮影=JBpress autograph編集部

「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」展示の様子

門下生80名以上の中から頭角を現す

 江戸後期を代表する浮世絵師・歌川国芳。ダイナミックな武者絵で人気を集め、剣豪・宮本武蔵と巨大な鯨が戦う《宮本武蔵と巨鯨》、画面いっぱいに骸骨を描いた《相馬の古内裏》など、タイトルを聞いただけで画面が頭に浮かぶという方も多いのではないか。

左から、国芳《赤沢山大相撲》、《浮世よしづくし》ともに浅井コレクション

 そんな国芳の元には、腕を磨き、名を高めたい、野心あふれる若き絵師が集まった。歌川芳虎、歌川芳艶、歌川芳藤、歌川芳玉・・・。名が残る絵師だけで、その数は80名を下らない。そして、彼ら門弟の中で双璧を成す“2大ライバル”といえる存在が落合芳幾と月岡芳年だ。

 展覧会「芳幾・芳年―国芳門下の2大ライバル」は、芳幾と芳年の作風や画技を比較しながら2人を“直接対決”させようという試み。こうした展覧会は勝負がつかずに「どちらも素晴らしいよね」で終わってしまうことが多いが、展覧会をより深く楽しむためにも「最終的にはどちらか一方に票を投じよう」と決めて鑑賞するのも一興だろう。