文=酒井政人

2023年1月2日、第99回箱根駅伝往路2区を走り終えた近藤幸太郎(青学大)。ナイキを着用 写真=スポニチ/アフロ

今年もナイキが強かった

 駒大が悲願の〝駅伝3冠〟を成し遂げて、名将・大八木弘明監督が勇退を発表。エース吉居大和が花の2区を制した中大が22年ぶりのトップ3となる総合2位に入るなど、今年の箱根駅伝も見応え十分だった。そのなかで近年注目を浴びている〝シューズウォーズ〟にも動きがあった。

 現在のトレンドはナイキが創造してきた。2017年に厚底シューズを発売すると、シューズシェア率を年々拡大。2021年大会では驚異の95.7%に到達した。区間記録も前回大会までにすべて塗り替えている。

 ナイキ一色に染まりかけた箱根路だが、前回はアディダスとアシックスが反撃を開始。果たして、今大会はどうなったのか。箱根駅伝出走210人が着用していたブランドは以下の通りになる(カッコ内は22年大会の人数)。

ナイキ130人(154人)、アディダス38人(28人)、アシックス32人(24人)、プーマ7人(1人)、ミズノ1人(2人)、ニューバランス1人(1人)、アンダーアーマー1人(0人)

 ナイキが154人(73.3%)から130人(61.9%)にシェアを下げたとはいえ、絶対王者は今年も強かった。優勝した駒大、2位の中大はユニフォームがナイキで、出走メンバー全員が同ブランドを履いていた。

 主なモデルは2つで、『ヴェイパーフライ ネクスト% 2』と前足部にエアが搭載された『エア ズーム アルファフライ ネクスト% 2』(もしくはエア ズーム アルファフライ ネクスト%)だ。

 花の2区でトップ争いを繰り広げた吉居大和(中大3)、田澤廉(駒大4)、近藤幸太郎(青学大4)はいずれもナイキを着用。吉居は旧モデルといえるエア ズーム アルファフライ ネクスト%で快走した。

 山上り5区で区間記録を樹立した山本唯翔(城西大3)はヴェイパーフライ ネクスト% 2を履くなど、昨年12月に発売された「NIKE EKIDEN PACK 2023」のグリーン色がとにかく目立った。

 

アディダスとアシックスが上昇

 王者・ナイキからシェアを取り戻しつつあるのがアディダスとアシックスだ。2021年大会はアディダスが4人、アシックスは0人と大苦戦したが、今年はアディダスが前年28人から38人、アシックスは前年24人から32人に伸ばしている。

 アディダスは『アディゼロ アディオス プロ 3』を着用していた4区イェゴン・ヴィンセント(東京国際大4)、7区葛西潤(創価大4)、8区宗像直輝(法大3)が区間賞を獲得。2区と3区で区間記録を持つヴィンセントはアディダスで3つめの区間記録(2つはナイキを着用)を打ち立てた。

 アシックスはストライド型ランナーがより歩幅を伸ばして、少ない歩数でのゴールを追求したモデル(『METASPEED SKY』or『METASPEED SKY+』)を履いた8区木本大地(東洋大4)と10区西澤侑真(順大4)が区間賞をゲットしている。