大躍進のプーマに注目

 前年の1人から7人に急増したのがプーマだ。30年以上前のことは分からないが、筆者が知る限り、前年が〝初出場〟だった。そして今年は立大がプーマのユニフォームで55年ぶりの箱根復帰を飾っている。

 今回、大躍進を遂げた理由はどこにあるのか。青学大が箱根駅伝で初優勝に輝いたときにアンカーを務めたプーマの安藤悠哉さんは以下のように分析している。

「プーマは2021年にランニング部門を本格強化したこともあり、大学に足を運んで、試していただく機会を増やしました。ただ他ブランドのテクノロジーも上がっているなかで、履いていただくのは非常に難しい。一番の理由はプロダクトのクオリティが上がり、ランナーの方々に受け入れていただいたところがあるかなと思います」

 プーマは2021年に最大80%のエネルギーリターンを誇る「ニトロフォーム」を開発。プーマ従来のEVAの商品と比べて46%も軽いという。柔らかくて、しっかり沈み込むのに反発力が高いのが特徴だ。ランナーの使い方にもよるが、50万回(個人差はあるが、フルマラソン10回分くらい)の着地でも機能性を維持できるという。カーボンプレートも搭載されており、トップ選手のハートを掴みつつあるようだ。

 今年の箱根駅伝ではブルーとグリーンがまぶしい日本限定特別デザインの「FASTER PACK」シリーズ(1月23日から発売中)のシューズを選手たちは着用していた。その内訳は、『DEVIATE NITRO ELITE 2 EKIDEN』が4人、『FAST-R NITRO ELITE EKIDEN』が3人だった。

『DEVIATE NITRO ELITE 2 EKIDEN』
『FAST-R NITRO ELITE EKIDEN』

 なお11月の全日本大学駅伝では5区青木瑠郁(國學院大1年)が『FAST-R NITRO ELITE Fire Glow』という厚底モデルを履いて区間賞を獲得している。

 

超個性的なシューズも登場

 勢いに乗るプーマは軽量のレーシングモデル『FAST-FWD NITRO ELITE』を1月28日に発売。個性的なビジュアルで話題になっている。

『FAST-FWD NITRO ELITE』

 厚底シューズでありながら、前足部と踵部分を大胆にカット。ミッドフッド(中足部)の着地から蹴り出しが速くなるように設計されており、高い推進力を発揮するという。昨年11月の全日本大学駅伝では、同モデルを着用した丹所健(東京国際大4)が2区で7人抜きを演じている。

 筆者も試したが、本当にユニークなシューズだ。履きこなすのは簡単ではなさそうだが、ハマれば5~10㎞のレースや上り坂で爆発力を引き出すだろう。こういうエッジの効いたシューズが登場すると、ランナーの選択肢が広がる。プーマの躍進でますますシューズウォーズが過熱しそうだ。