※本コンテンツは、2023年1月18日(水)に配信したJBpress/JDIR主催「第4回 金融DXフォーラム」の基調講演「金融DX、銀行は生き残れるのか」の【講演動画】と【全文採録記事】で構成しています。

 金融業界においてサービスと情報技術を組み合わせるイノベーションであったFinTechは、いまや異業種をも巻き込み、企業活動や個人の生活を大きく変える金融DXへと発展しました。静岡大学情報学部教授の遠藤正之氏は、「今後、銀行が生き残るためにはDXが必要不可欠である」と語ります。

 過去10年の間、金融業界はめまぐるしく変化してきました。2012年頃からFinTechスタートアップ企業が活動を開始し、2015年には金融機関がFinTechの取り組みを本格化しました。その後はブロックチェーンや仮想通貨が注目され、キャッシュレスが大きなテーマとなる中、IT系異業種の参入も本格化していきます。

 このような金融DXの流れにおいて、遠藤氏はとりわけ最近の2021年から2023年に見られた6つの動きに注目します。

 2021年の動きとしてまず挙げられるのが、「エンベデッド・ファイナンス(Embedded Finance:組み込み型金融)の進化」です。企業が自社サービスに金融機能を組み込んで提供するエンベデッド・ファイナンスは、現在ではさまざまな企業が取り入れています。

 「地銀発デジタルバンクの開業」も注目すべき動きです。2021年にはふくおかフィナンシャルグループのみんなの銀行、2022年には東京きらぼしフィナンシャルグループのUI銀行が開業し、スマートフォンに特化したサービスの提供を開始しました。

 さらに、2021年には金融サービス提供法の施行による「金融サービス仲介業の創設」があり、銀行・証券・保険のサービスを一つのライセンスで扱える新業態が登場しました。

 2022年には「銀行勘定系システムの更改の本格化」や「銀行小口送金の無料化」といった動きがみられ、2023年には「デジタル給与解禁」が実現されようとしています。

 このような激動の時代を生き抜くために、銀行はどのような視点を持ち、対応策を講じる必要があるのか。どのようにしてビジネスモデルの変革と人材配置の変更を行えばよいのか。「金融DXこそが、ビジネスモデルの変革と人材配置の変更を円滑に進める推進力になる」と語る遠藤氏が、金融業界の最新動向の分析とともに解説します。