欧州の自動車メーカーは、欧州連合(EU)の排ガス規制への対応に取り組む中、EU域内市場でEVの生産・販売に注力してきたが、22年は中国や米国といった他の主要市場でEV事業を積極的に拡大した。

 BEV世界販売台数の3分の2を占める中国市場では、国内メーカーが欧米大手に追いつきつつあり、欧米市場への進出を始めている。

 一方、米国はEVの市場投入で中国や欧州に後れを取っている。だが、22年は80万7180台のBEVを販売。自動車販売台数に占めるBEVの比率は前年の3.2%から5.8%に拡大した。

EV世界販売台数のメーカー別順位は

 独センターオブオートモーティブマネジメント(CAM)によると、BEV販売台数ランキングの世界首位は米テスラ。この後に中国・比亜迪(BYD)、中国・上海汽車集団(SAIC Motor)、独フォルクスワーゲン(VW)グループのブランドが続く。

 米国市場では、米フォード・モーターが第2位のEVメーカーであり、この後、韓国・現代自動車とそのグループ会社の起亜自動車が続く。一方で、米ゼネラル・モーターズ(GM)やフォルクスワーゲン、日産自動車は22年、米国EV市場でシェアを減らした。

 米ウォール・ストリート・ジャーナルによると、「EVは世界的に主流になる兆しを見せているが、23年は前年のような好調な販売を持続することが難しい」とアナリストらは分析している。経済不安が消費者に重くのしかかり、一部の国ではEV補助金が減額されたり廃止されたりしている。ロシアのウクライナ侵攻を受け、欧州で電気料金が上昇したことも、ガソリン車に比べてEVの魅力が薄れている要因だという。

 LMCオートモーティブによると、22年の世界新車販売台数は8060万台で前年から1%減少した。中国での4%近くの伸びが、米国での8%減、欧州での7%減を補った。世界経済の減速、エネルギーコストの高騰、サプライチェーン(供給網)の混乱、ウクライナでの戦争が自動車販売に打撃を与えたという。