キタムラは1999年からインターネット事業をスタートさせ、店舗サービスとEコマースを融合させた独自のビジネスモデルを構築してきた。また、消費者の価値観や購買行動が激しく変化する中、リユース分野のDXで新たな成長を遂げている。ECと全国の店舗ネットワーク双方のメリットを生かして新たな価値を創出した、キタムラ・ホールディングスのDX戦略および実践例を、同社取締役常務執行役員の福本和宏氏に聞く。

※本コンテンツは、2022年11月28日(月)に開催されたJBpress主催/JDIR「第10回リテールDXフォーラム」の特別講演1「DXで実現するキタムラリテール戦略」の内容を採録したものです

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リアルとネットを融合させた、キタムラのオムニチャネル展開

 1934年に高知県で創業したキタムラは、カメラのキタムラと子ども写真スタジオのスタジオマリオを合わせて全国に1000店舗以上の大きな顧客基盤を築いてきた。2017年にカルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC)が経営に参画し、2019年にはキタムラ・ホールディングスを設立。事業会社であるキタムラを筆頭に、ネットプリント最大手のしまうまプリント、イベント撮影のフォトクリエイト、BtoB写真プリント事業のラボネットワークなどを傘下に擁し、フォトプリント、スタジオ撮影、カメラ販売、リユース、ソリューションサービス、BtoB、その他物販という7つの事業セグメントが相互に連携してシナジーを発揮している。

 連結売上高約1000億円と、フォト業界で高い市場シェアを誇る同グループの強みは「リアルとネットの融合」と語るのは、キタムラ・ホールディングス取締役常務執行役員の福本和宏氏だ。リアルとオンラインの融合を示す指標「EC関与比率」は、BtoC市場における日本平均は8%、世界では16%。対して、同グループのEC関与比率は56%と、専門EC企業に匹敵する高さを誇る。その中でも特に大きなウエートを占めるのが、キタムラのBOPIS(Buy Online Pick Up In Store)だ。

「キタムラは、オムニチャネルが最もうまくいっている企業の1つとして評価されています。全国の店舗網とECを両立し、お客さまを中心に多様な消費行動に応える仕組みをつくっています」と福本氏は語る。