西友は新たな経営体制の下で、食品スーパーとネットスーパーでそれぞれ業界ナンバーワンになるという目標を掲げ、改革に乗り出した。OMO(オンラインと実店舗の融合)戦略を中心に、DX(デジタル変革)をどう進めていくのか。経済ジャーナリストの渋谷和宏氏が改革を主導する大久保恒夫社長に切り込む。

※本コンテンツは2022年9月26日に開催されたJBpress主催「第9回リテールDXフォーラム」の特別対談「西友の改革について~“日本を代表するOMOリテーラー”を目指して」の内容を採録したものです。

楽天のデータ分析力を活用してロイヤルカスタマーを増やす

渋谷 西友は楽天(現楽天グループ、以下楽天)と共同出資で2018年に楽天西友ネットスーパーをスタート。今年4月からは楽天ポイントを軸にした協業を開始しました。ネットスーパー向けのアプリが西友約330店で使えるようになり、OMO戦略に本格的にかじを切ったわけですが、この狙いは。

大久保 小売業を発展させるには利益をしっかり上げて、ビジネスの基盤となるシステムと教育に前向きな投資を行うことが必要です。利益を上げるためには「価値の創造」が重要で、西友では商品力と販売力の強化を2本柱に改革を進めようと考えています。

 そこで昨年20%の出資を頂いた楽天と関係を強化し、OMO戦略を進めていこうということです。

 西友が持っているリアルの強さと楽天のネットの強さをうまく組み合わせたいと考えています。西友の強みはリアルの店舗が約330店、約7300億円の売上げがあり、1日100万人以上のお客さまが来店され、商品力と販売力があること。またスーパーならではの生鮮や惣菜、デイリー食品販売に関するノウハウを持っていることです。

 一方、楽天の強みは楽天エコシステムという独自の経済圏を形成していてID(識別番号)会員数が1億以上あり、データを活用したデジタルマーケティングが進んでいて、情報システム化もかなり強力なことです。

渋谷 両者の強さを組み合わせて、販促や商品開発などに具体的にどう生かすのですか。