アマゾンでは、ジャシー氏指揮の下、コスト削減に向けた事業見直しを進めてきた。不採算事業に焦点を当てており、数カ月にわたる評価の一環として、人工知能(AI)による音声アシスタントサービス「Alexa(アレクサ)」部門が入念に精査されてきた。
アレクサを含むデバイス・サービス部門のデイブ・リンプ上級副社長は22年11月、従業員宛てのメッセージで、会社が一部のチームとプロジェクトの統合を決定したと告げ「一部の役割が不要になる」と説明した。
ウォール・ストリート・ジャーナルによると、すでに削減対象となったのはクラウドゲームサービス「Luna(ルナ)」や、Alexaのマーケティング、AI、プライバシー部門。家庭用ロボットなど先進ハードウエアの研究開発部門「Lab126」も対象になった。
22年春から夏にかけては、米国と英国で対面式の書店「Amazon Books(アマゾン・ブックス)」や、ECサイトで高評価の商品だけを集めた店舗「Amazon 4-star(アマゾン・4スター)」、ショッピングモール内の小規模店「Amazon Pop Up(アマゾン・ポップアップ)」を閉鎖した。同年には医療サービス「Amazon Care(アマゾン・ケア)」も終了した。同社は22年10月、主力の小売事業でオフィス職の採用を凍結すると明らかにしていたが、その後レイオフ(一時解雇)に踏みきった。
メタやストライプ、リフト、HPも人員削減
アマゾンは、新型コロナ禍の需要増に対応するため、人員採用と設備投資を積極的に進めてきた。しかし、その後成長が減速し、さまざまな資源・設備に余剰が生じた。こうした問題は、他の米テクノロジー大手も抱えると指摘されている。
SNS(交流サイト)を運営する米メタは22年11月、全従業員の約13%にあたる1万1000人超を削減すると明らかにした。2004年の創業以来初の大規模リストラである。同月には、オンライン決済大手の米ストライプやライドシェア大手の米リフトも人員削減を発表。パソコン大手の米HPも同月、25年までに全世界で4000~6000人の人員を削減すると明らかにした。顧客管理ソフト大手の米セールスフォースは23年1月4日、従業員の約1割を削減する計画を発表した(CNBC)。