文=松原孝臣 写真=積紫乃
今年のGWは過去最高を記録
何度見ても、心を揺さぶられる。
駅の改札を抜けてロータリーに出た瞬間、まっすぐに延びる道の先に広がる山々が目に飛び込む。
長野の白馬駅からの光景は壮観だ。
もともとスキーの町として知られていた白馬は、コロナ前、海外からの観光客の人気を高めていたのに加え、近年、さらにその地位を高めてきた。
その中でも、大きな注目を集めてきた場所がある。「白馬岩岳マウンテンリゾート」だ。その理由は、雪の降らない季節「グリーンシーズン」の飛躍的な来場者の増加にある。スノーリゾートの未来を切り開く可能性がそこにあるからこそ、注目されている。
数字が雄弁に物語る。2017年まで、グリーンシーズンに訪れる人の数は2万人台であったが、2018年、6万人に達すると、2019年には実に13万人を数えた。これはスノーシーズンを上回る記録であった。
2020年、コロナ禍が起こると各地の観光地は大打撃を受けた。白馬岩岳マウンテンリゾートもその影響は免れなかったが、それでもグリーンシーズンは10万人台を維持し、2021年には過去最高の13万4000人にのぼった。
今年のゴールデンウィーク(4月29日~5月8日)には過去最高の1万7600人の来場者があったことが報告されている。コロナ前の2019年よりも1・4倍であることも目をひく。それだけの人が訪れれば、観光関連など地元にとってもプラスとなる。
スキー場は全国どこであれ、雪の季節こそスキーヤーやスノーボーダーの来場が見込まれるが、それ以外の季節にどう施設をいかすか試行錯誤してきた。ただ苦戦している実情があり、ひいてはスキー場の経営にも影を落としている。だからこそ、岩岳マウンテンリゾートのグリーンシーズンにおける成功は、大きな注目を集めることになった。
そこには戦略があり、仕掛けがあった。