それ以降、メタは人員再配置計画を進めてきた。また、中国発の動画アプリ「TikTok(ティックトック)」との利用者獲得競争が激化しており、これも事業環境に暗い影を落としている。
ザッカーバーグCEOは22年7月の決算発表時、「社内の多くのチームが規模を縮小することになる」と述べた。「これにより、我々は他の分野に注力することができる。各幹部にはそれぞれの担当部門のどこで人員を増やすか、どこで補充するか、どこを再編するかを考えてほしい」とも述べていた。
メタの22年4~6月期決算は、売上高が前年同期比1%減の288億2200万ドル(約4兆1700億円)、純利益が同36%減の66億8700万ドル(約9700億円)だった。売上高全体の約98%を占めるネット広告事業が振るわず、12年の上場以来初の減収となった。
メタの株価は22年に入ってこれまでに59%超下落しており、同社の時価総額は21年9月のピーク時から7100億ドル(約102兆8400億円)以上減少した(独スタティスタのインフォグラフィックス)。
巣ごもり需要の反動減、インフレ、サプライチェーン混乱
米テクノロジー大手は新型コロナウイルス禍の需要増大を受け、人員や設備への投資を拡大してきた。だが、22年に入ると巣ごもり需要が一服し、その反動減やインフレの急激な進行、サプライチェーン(供給網)の混乱などに直面。景気後退への懸念を背景に、コスト削減を進める企業が増えている。
写真・動画共有アプリ「スナップチャット」を運営する米スナップは20年末から従業員を65%増やしてきたが、先ごろ、20%を削減すると明らかにした。米マイクロソフトも全従業員の1%に相当する千数百人を削減すると報じられた。米ツイッターは採用部門の人員を30%レイオフすると明らかにした。
米グーグルの持株会社である米アルファベットも採用を抑制し、一部のプロジェクトを停止した。グーグルは22年9月29日、19年から提供してきたビデオゲームのストリーミング配信サービス「Stadia(スタディア)」から撤退すると発表した。同社はその理由について「期待したほど利用者の支持を得られなかったため、サービスを終了するという難しい決断を下した」と説明した。
アルファベット22年4~6月期の増収率は、新型コロナ禍で旅行分野などの広告需要が低迷した20年4~6月期以来の低水準。2四半期連続の減益となった。動画共有サイト「YouTube(ユーチューブ)」の増収率が5%と、過去最低の伸びだった。
(参考・関連記事)「メタが水面下で人員削減 「経営資源を再配分」 | JDIR」