オートバックスセブンは、今年3月に経済産業省のDX認定制度で認定を受けている。その申請資料の中では、「プラットフォーマーへの進化」(統合報告書2020より引用)という方向性が示されていた。そのため、詳しく調べてみたところ、同社は、自らプラットフォーマーになる戦略から、アライアンスによるプラットフォーム提供の方向に戦略を変えていて、既に幾つかのサービスの終了を発表していた。
ここでは、オートバックスセブンのこれまでのDXの取り組みと、どのように方針を転換したかや、今後の方向性などをまとめたい。
まず、オートバックスセブンが自ら構築してきたプラットフォームの概要を示そう。
【利用者間のプラットフォーム事業】 CtoC中古車売買仲介
オートバックスセブンは2021年4月12日、C to C中古車売買フリマアプリ「クルマのえん」というサービスを開始した。
これは、中古車の個人間売買をサポートするサービスだった。
売り手は、オートバックス店舗での車買取査定システム「査定Dr.」を活用した店舗査定による出品、または、スマートフォンでクルマの査定ができる「オンライン査定」の査定結果をもとにした出品の2種類の出品が可能。買い手は、出品車両が「店舗査定」と「オンライン査定」のどちらで実施されているかや、クルマの状態の目安が確認できるという仕組みであった。
しかし、「サービスの利用状況を鑑み」という理由で、2021年12月31日でサービスは終了。利用者が十分に集まらなかったためのようであった。
【見守りサービスのプラットフォーム】 WEAR+i事業の展開
オートバックスセブンの「WEAR+i見守りサービス」は2019年1月に構想が発表され、家族などの見守りのために3種類のサービスが提供されてきた。
まず、運転見守りサービス「くるまないと」は、センサーを内蔵した機器をクルマに取り付けることで、そのクルマの位置情報や移動情報を家族などに提供するサービス。2019年に「くるまないと(IoTデバイス)」からサービスを開始し、2020年には「くるまないと(ドライブレコーダー)」、社用車・公用車向け「くるまないとfor Biz」へとサービスを拡大した。
在宅見守りサービス「ZUKKU(ズック)」は2019年10月にサービスを開始。対話機能を搭載してAIによる自然な会話が楽しめる身長10cmのミミズク型ロボットZUKKU(人感センサーを搭載)を通して、離れて暮らす家族などの見守りの目的で提供された。
外出見守りサービス「みる・まもーる」は2021年9月にサービス開始。子どもや高齢者の外出時の見守りデバイスを使ったサービスであり、SOS機能付きハンディGPSを利用。
しかし、同社が今年3月30日に発表した「見守りサービス、販売終了のご案内」の中で、これらの3種類のWEAR+i見守りサービスを2023年3月末で終了することを明らかにしている。