従来の日本人選手には考えられないほどの〝凄さ〟

2021年8月6日、東京五輪、陸上女子1500m決勝で 田中が日本人初の8位入賞 写真=YUTAKA/アフロスポーツ

 田中の特徴は世界大会に滅法強いことと、連戦のなかで調子を上げていくことだ。それは従来の日本人選手には考えられないほどの〝凄さ〟がある。

 2019年のドーハ世界陸上(5000m)で初めてシニアの世界大会に参戦した田中は、東京五輪と合わせて合計6レースに出場。うち5レースで自己ベストを塗り替えている。自己ベストがでなかったのは東京五輪の1500m決勝だけで、それもセカンドベストの3分59秒95で走破。女子中距離としては93年ぶりの五輪入賞を成し遂げた。

 なお昨夏の東京五輪は5000m予選で14分59秒93の自己ベストを出した2日後、1500m予選で4分02秒33の日本新記録を樹立。さらに2日後の1500m準決勝で日本記録を3分59秒19まで短縮している。

 オレゴン世界陸上のスケジュールはメイン種目の1500mが最初。予選が15日18時10分(日本時間/16日10時10分)、準決勝が16日18時30分(17日10時30分)、決勝が18日19時50分(19日11時50分)だ。

 続いて、5000m予選が20日16時25分(21日8時25分)、800m予選が21日17時10分(22日9時10分)、800m準決勝が22日18時35分(23日10時35分)、5000m決勝が23日18時25分(24日10時25分)、800m決勝が24日18時35分(25日10時35分)となる。

 3種目の今季ベストは800m2分03秒10、1500m4分06秒35、5000m15分05秒61。入賞を狙う1500mは「今年はまだ納得できるタイムで走れていない」と田中は話しているが、ラウンドを重ねていけば、本人も納得できるタイムで走ることができるだろう。

 5000mは東京五輪で決勝進出を0.38秒差で逃しているだけに、まずは予選を突破して、決勝では日本記録(14分52秒84)の更新と入賞を狙いたい。

 800mはラウンドを勝ち上がるのが厳しい状況だが、世界大会で驚異の快走を連発している田中なら自己ベスト(2分02秒36)の大幅短縮だけでなく、日本記録(2分00秒45)の更新や1分台の期待もある。

 5000mのラスト1周のキック力は昨年よりも明らかに強くなっている田中。オレゴン世界陸上では〝どんな能力〟が覚醒するのだろうか。