マスク氏「言論の自由を守る」

 ツイッターは買収後もこれまでと同じSNS運営ができるのだろうか。あるいは同社には今後大きな変化があるのだろうか。

 ツイッターが4月25日に出した発表資料の中でマスク氏は、「言論の自由は民主主義の基盤であり、ツイッターは人類の未来に不可欠な問題が議論されるデジタル公共広場だ」とコメントした。また、新機能の導入や、アルゴリズムのオープンソース化による信頼性向上、スパムボットの排除、すべての人間の認証など、今後の方向性について述べたものの、詳細は現時点で不明だ。

 ウォール・ストリート・ジャーナルによると、同氏は自身のツイートで、「(ツイッターは)多様な議論と反論が交わされる場であってほしい」との考えも示している。「私に対する最悪の批評家であってもツイッターに残ってほしい。それが言論の自由の意味するところだからだ」とも述べ、ツイッターが現在行っている検閲的な管理体制に不満があることも明かした。

SNSに対する規制強化の動き

 ただ、こうした同氏の考え方を米政府は警戒している。ロイター通信によると、今回の買収発表を受け、ホワイトハウスのサキ報道官は「私たちの懸念は新しいものではない。大統領はツイッターなどのSNSプラットフォームが誤情報を広める力について懸念しており、長い間議論してきた」と述べた。

 米政府は利用者の投稿内容に関してネット企業の法的責任を免除する「通信品位法230条」を問題視している。サキ報道官は「バイデン政権は引き続き通信品位法230条の撤廃を主張し、テクノロジー企業に対する反トラスト法(独占禁止法)や透明性に関する取り締まりの強化を支持している」とも述べた。

 欧州連合(EU)は22年4月23日、SNS運営企業などに違法コンテンツへの対応を強化するよう義務づける「デジタルサービス法案(DSA)」に合意した。米欧で巨大ネット企業に対する規制強化の動きが加速しており、マスク氏のSNSに対する考え方は、こうした流れに逆行すると指摘されている。

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