■〔シリーズ〕DX企画・推進人材のための「ビジネス発想力養成講座」はこちら!
この連載はDX企画・推進人材が身に付けるべきビジネス発想力の養成を目的としている。DXやデジタルビジネスの成功事例には「ビジネスの仕掛け」がうまく使われているが、本連載では、役に立つ9の「ビジネスの仕掛け」をテーマにビジネスアイデアを発想できる考え方、事例などを解説していく。
今回のテーマは〈5〉顧客ロイヤリティプログラムである。皆さんはこの言葉に何をイメージするであろうか。ある人は「家電量販店のポイント」、別の人は「航空会社のマイル」、また別の人は「ラーメン店のスタンプ」を思い浮かべるかもしれない。
このように、多くの人は顧客ロイヤリティプログラムといえば、「○○ポイント」を連想する。「リピート客を増やしたいのでポイントを導入したい」「顧客単価を上げたいので購入価格比例ポイントにする」「来店を促したいので来店ポイントをつけよう」という具合である。
しかし、「ポイント」はあくまで手段に過ぎない。リピート客を増やすためにポイントは有効だが、それは本質ではない。お客がリピートするのは「ポイントを使って割引で商品を買えるから」だけではない。それなら、他の安い店やネットで買う判断をするだろうからだ。
リピート客を増やすなら、お客が「絶対、ここで買い続けたい」という強い価値が必要だ。これがリピート客を増やす条件であり、本質である。従って、「顧客ロイヤリティ=顧客が感じる絶対的な価値」の意味をしっかり考える必要がある。これが分かる事例を紹介しよう。
連日、クスリを買いにきたお客に「ドラッグストアの従業員」は・・・
ある地域のドラッグストアにクスリを買いに来たお客がいた。そのお客は店を毎日訪れた。1日目は頭が「ズキズキ痛い」と言い、2日目は腹が「シクシク痛い」と言い、3日目は喉が「チクチク痛い」と言い、4日目は、腰が「ミシミシ痛い」と言った。
接客した店員は2人いた。1人はクスリに詳しい薬剤師のAさん、もう1人はクスリに詳しくないアルバイトのBさんだった。