日本の伝統文化を代表する歌舞伎。その定式幕や隈取り。さらには、大相撲の懸賞旗など。それらを目にすると思い出される食品メーカーがある。既に多くの読者が、その食品メーカーの名を思い浮かべていることと思う。そう。永谷園だ。
お茶漬けだけじゃない。ロングセラーの宝庫
永谷園と言えば、やはり、お茶漬けを真っ先にイメージする人が多いだろう。中には、「永谷園=お茶漬け」とさえ、思い込んでいる面々もいるかもしれない。確かに、永谷園は創業以前に「お茶づけ海苔」を発売した経緯を持つなど、同社にとってお茶漬けは特別なメニューであり、お茶漬けの素は欠かすことができないシンボリックな商品群になっている。
その一方で、スーパーマーケットの店頭に目を向けてみると、さまざまな売場で永谷園の商品に接する機会が多い。そのことに、皆さんは気付いているだろうか?
お茶漬け、ふりかけの売場はもちろんのこと。例えば、即席みそ汁の売場では「あさげ」「ゆうげ」「松茸の味お吸いもの」など。中華コーナーでは「麻婆春雨」「広東風かに玉」。さらに、即席麺の売場には「煮込みラーメン」があり、すしの素やプレミックスの売場にも「すし太郎」や「ホテルニューオータニ ホットケーキミックス」がある。そして、乾麺の売場でも「そうらーめん」が顔をのぞかせる。思いつくまま定番商品を列記してみたが、これだけ挙げても全てを網羅しきれないほどだ。
このようにスーパーマーケットの店頭には、永谷園の商品がさまざまな売場に並べられている。そして、それらの多くがロングセラーとして、生活者に親しまれ、世代をまたぎ愛用されている。そんな事実に驚かされるのは、果たして私だけだろうか?
日本には数多くの食品メーカーがある。しかし、食品メーカーの中でも、これほどまでに複数の売場を横断し、商品を展開しているナショナルブランドメーカーは稀有だ。それだけに、永谷園は唯一無二の存在と言っても過言ではなく、その存在に注目する価値も十分にある。