平昌以上の大技の習得

 平昌での反省をもとに、大技を、しかも平昌以上の大技の習得を志した。試合で実践できるレベルで身に着けようとした。

 その成果を見せたのが昨シーズンだった。2021年1月31日、Xゲームのビッグエアで「キャブダブルコーク1260」を女子で初めて成功させて銀メダルを獲得すると、銅メダルを獲得した世界選手権でも「キャブダブルコーク1260」「バックサイドダブルコーク1080」を成功させたのである。

 粘り強さと情熱は、スノーボードとのかかわり方にもうかがえる。熊本市の出身の鬼塚は5歳の頃から片道約2時間をかけて福岡市内の施設に通い、スノーボードに打ち込んだ。音を上げることはなかった。

 また、福島県内の「アルツ磐梯」や「猫魔スキー場」でも幼少期から練習していた縁から、運営する星野リゾートと2017年に所属契約を結んだ。

 アルツ磐梯にはその内容も含め要望を出し、オーダーメイドパークを設置してもらうなど練習環境を整えてもらってきた。それもまた、鬼塚のスノーボードへの姿勢あってのことだろう。

アルツ磐梯では鬼塚選手のスノーボードレッスンを開催 写真=星野リゾート

 昨年11月、鬼塚はこう語っている。

「2年前には滑っているし、成績もよかったので、そのままのいいイメージで臨みたいです」

 言葉にあるように2019年、北京で開催されたビッグエアのワールドカップに出場し優勝している。だから好印象がある。

 そして4年ぶりの大舞台は目の前に迫っている。ビッグエアなら、勝負のポイントは、大技「キャブダブルコーク1260」の成否になってくるだろう。

 4年前とは違うことを証明するために。心から納得のいくパフォーマンスをするために。

 鬼塚雅は、2度目の大舞台へ挑む。