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文=松原孝臣

2022年1月15日、2021-22スノーボードW杯ラークス大会、男子ハーフパイプでの平野歩夢 写真=アフロ

敗れてなお、余韻を残した銀メダル

 夏、注目を集めたアスリートが、再び雪の上に還ってきた。

 スノーボード・ハーフパイプの平野歩夢である。

 スノーボーダーとしての実績は数知れない。4歳のとき、スノーボードを始めると、時を置かず大会で活躍し、頭角を現した。

 小学4年生のときには用具メーカーと契約。その後、国内のみならず海外の大会にも出場して好成績をおさめる平野の名が永スノーボード界で知れ渡ったのは2013年のことだった。14歳で出場した「Xgames」のスーパーパイプで銀メダルを獲得したのだ。世界最高峰と言われる大会でのこの成績で、まぎれもなくトップスノーボーダーの1人として名乗りを上げた。

 そしてスノーボードを超えて、広く知られることとなったのが、2014年のソチオリンピックであった。

 平野は好パフォーマンスを披露、銀メダルを獲得したのである。このとき15歳74日、冬季オリンピックでは日本史上最年少でのメダリスト誕生の瞬間であり、スノーボードでの世界最年少メダリストが生まれた瞬間でもあった。

 さらに平野の存在を知らしめたのが平昌オリンピックであった。試合は、2006、2010年のオリンピック金メダルを獲得しているスーパースター、ショーン・ホワイトとの一騎打ちが予想された。

 その予想通りの試合が展開される。

 2本目、平野が世界屈指の大技に成功。この時点でトップに立つと1位を維持したまま進む。

2018年2月14日、平昌五輪スノーボードハーフパイプ男子決勝での平野 写真=L'EQUIPE/アフロ

 最終の3本目も次々に選手が滑り、残るは最終滑走のホワイトのみ。ここでホワイトは平野と同じ技を成功させ、逆転する。平野はソチに続く2位となったが、ホワイトのもてる力すら引き出すような平野のパフォーマンスは、2人の名勝負とともに、敗れてなお、余韻を残して終わった。

平昌五輪での平野とショーン・ホワイト 写真=YUTAKA/アフロスポーツ