同法案は、アマゾンが商品の保管、梱包、配送などを代行する出品者向けサービス「Fulfillment by Amazon(フルフィルメント・バイ・アマゾン)」も対象となる。米ブルームバーグは、アマゾンが同事業の売却を余儀なくされる可能性があると報じている。下院司法委員会の反トラスト小委員会は20年10月の調査リポートで、アマゾンでは規模の大きな出店者の約85%がFulfillment by Amazonを利用していると報告した。
これに対し、アマゾンの公共政策担当副社長、ブライアン・ヒューズマン氏はこれらの法案について、「当社のストアで販売している何十万社もの中小企業や、当社から商品を購入している何千万人もの消費者に大きな悪影響を与えるだろう」と指摘している。
アマゾンでは、出品者向けサービス事業が急成長している。21年4~6月期における同事業の売上高は250億8500万ドル(約2兆7500億円)だった。規模はEC直販事業の半分以下にととどまるものの、前年同期比伸び率は38%と、EC直販の16%を大きく上回った。
アマゾン、多方面で独禁法圧力に直面
こうした中、アマゾンは多方面で反トラスト法の圧力に直面している。21年5月には米首都ワシントン(コロンビア特別区)の司法長官がアマゾンを提訴した。司法長官は「アマゾンは出店者が参加するマーケットプレイスで他のサイトよりも安く売るよう指示し、価格を拘束した」と指摘している。
CNBCなどによると、20年8月には米ニューヨーク州と米カリフォルニア州の司法長官がアマゾンのマーケットプレイスの調査を開始した。米連邦取引委員会(FTC)はクラウドサービスを含む広範な商慣習について調査中。FTCとともに反トラスト法を所管する米司法省はテック大手4社に対する広範な調査を進めている。
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