ただ、同社は様々な問題に直面しており、21年はそれらをどう乗り切るかが課題だと指摘されている。
自動車業界全体に広がる半導体不足については、代替チップと、それに対応するソフトウエアを開発することで問題を回避してきたが、4~6月期はエアバッグやシートベルトを制御するモジュールが不足。生産に影響が及んだ。
今後は半導体の動向が、同社のEV生産を大きく左右すると、イーロン・マスクCEO(最高経営責任者)は述べている。米メディアによると、海上輸送費や原材料費の高騰といった問題もマイナス要因になると指摘されている。
自動車大手のEV投入続々、競争激化へ
一方、テスラの高級セダン「モデルS」と高級SUV「モデルX」の21年4~6月期の販売台数は、計1895台にとどまった。前年同期から82%減少している。ウォール・ストリート・ジャーナルによると、テスラはモデルSとモデルXを新型車に移行中。モデルSの高性能モデルである「Plaid(プラドゥ)」の納車を21年5月に開始。モデルXの新型車は同7~9月期に納車できるとの見通しを示している。
こうした中、競合自動車メーカーのEV投入が相次いでいる。米フォード・モーターが全電動のスポーツ車「マスタング・マッハE」を、独フォルクスワーゲンがEVの中型SUV「ID.4」を発売するなど、消費者の選択肢が広がっているとウォール・ストリート・ジャーナルは報じている。
独ダイムラーの高級車事業会社メルセデス・ベンツは21年7月、エンジン車やプラグインハイブリッド車(PHV)への投資を大幅削減すると発表。30年ごろまでにすべての新車をEVにするとした。こうして自動車大手が相次いでEV専業化に向けた施策を打ち出しており、テスラの競争環境は厳しさを増している。
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