この中で、AIなどのデジタル技術は、企業からの一方的な情報発信に頼らずに、企業のESGへの取り組み姿勢をなるべく客観的に評価したり、調達されたお金の使い方をトレースするために活用され始めています。例えば、企業のESGへの取り組みに関するインターネット上の情報を大量に収集しAIで分析する取り組みや、ESG投資の判断におけるAIの活用などが、徐々に進みつつあります。

グリーンは世界のお金の流れや先行きの経済発展を左右

「グリーン」や「ESG投資」「SDGs」は、グローバルな資金を引き付け、環境対応などを現実に可能にしていく観点からも、また先行きの産業競争力や経済発展を大きく左右し得るファクターとしても、ますます重要になっています。

 日本企業には、高い環境対応技術を誇っている企業も比較的多くみられます。しかしながら、ESGの評価機関の多くを海外の機関が占める中、日本企業のグリーンやESG、SDGsに関する取り組みが、世界的には必ずしも十分に評価されているとは言えないように感じます。

 この中で日本としても、デジタル技術を活用し、グリーンやESG、SDGsに関する先進的な評価や地球環境への影響の総合的アセスメント、エネルギーや資金使途のトレーサビリティなどについて積極的に取り組み、また、そうした取り組みを世界に向けて発信していくことが求められているように思います。

◎山岡 浩巳(やまおか・ひろみ)
フューチャー株式会社取締役/フューチャー経済・金融研究所長
1986年東京大学法学部卒。1990年カリフォルニア大学バークレー校法律学大学院卒(LL.M)。米国ニューヨーク州弁護士。
国際通貨基金日本理事代理(2007年)、バーゼル銀行監督委員会委員(2012年)、日本銀行金融市場局長(2013年)、同・決済機構局長(2015年)などを経て現職。この間、国際決済銀行・市場委員会委員、同・決済市場インフラ委員会委員、東京都・国際金融都市東京のあり方懇談会委員、同「Society5.0」社会実装モデルのあり方検討会委員などを歴任。主要著書は「国際金融都市・東京」(小池百合子氏らと共著)、「情報技術革新・データ革命と中央銀行デジタル通貨」(柳川範之氏と共著)、「金融の未来」、「デジタル化する世界と金融」(中曽宏氏らと共著)など。

◎本稿は、「ヒューモニー」ウェブサイトに掲載された記事を転載したものです。