文=岡崎優子

3DCGで描かれたリアルなドラえもんの世界。38館でのIMAX(R)上映も決定!
(C)Fujiko Pro/2020 STAND BY ME Doraemon 2 Film Partners

誰もが見たかった!? のび太の結婚式

 いまだ新型コロナウイルス感染が収まらず、洋画メジャー作品がなかなか公開されないこともあり、興行通信社が毎週発表する興行収入ランキングは日本映画一色。しかも、11月28~29日はベストテン中6本がアニメ作品。『劇場版「鬼滅の刃」無限列車編』は歴代ランキングを塗り替え続け、すでに275億円を突破、262億円の『タイタニック』を抜いて第2位となった。第1位『千と千尋の神隠し』の308億円を抜くのも時間の問題かもしれない。

 そんな状況下、11月20日に『STAND BY ME ドラえもん2』が公開。2014年に公開された前作が「ドラえもん」映画歴代1位の83.8億円と大ヒットを記録しているだけに、「鬼滅の刃」の勢いにどのくらい迫るか、気になるところだ。

今回は原作の中でも名作として知られる「おばあちゃんのおもいで」をベースに、新たなオリジナル要素を加えたストーリーとなっている。何と言っても、前作で描かれた「のび太の結婚前夜」の翌日、のび太としずかちゃんの結婚式が舞台に。往年のドラえもんファンはもちろん、子どもの頃から見てきた世代にとっては、夢のような光景であることは間違いない。

 しかも本作は「ドラえもん50周年記念作作品」。今年は「よいこ」「幼稚園」「小学一年生」など小学館の学年誌1970年1月号に漫画「ドラえもん」の連載がスタートしてから50年となる。今やドラえもんは子ども向けの漫画、アニメではなく、大人も楽しめ泣ける作品の一つ。1980年からは毎年3月に長編映画が公開され(今年はコロナ禍の影響で8月に延期)、今年の『のび太の新恐竜』で40作目を数える。その客層はファミリー層だけでなく、大人一人で観に来る人も多い。ファンを自認する知人は涙する姿を見られたくないからと、必ず初日に一人で観に行くと言っていた。『名探偵コナン』もそうだが、ファンは成長しても作品を卒業するわけでもなく、その後も引き続きカップルで観に行ったり、親子二代三代で観に行ったりすることが当たり前になってきた。だからこそ興行収入はファン層の積み重ね、ほぼ右肩上がりで推移しているのも頷ける。

 特に「STAND BY ME ドラえもん」は長編映画とは一線を画した、完全に大人に向けともいえる作品。「ドラ泣き」のキャッチコピーはあざとすぎるという批判も多かったが、ドラえもんとのび太の出会いから別れ、のび太としずかちゃんとの恋愛模様が描かれた前作は、確かに感涙ものだった。