社員健康管理、精度向上のカギは回答しやすさの追求

毎日の簡単な質問から、社員の休職リスクをAIが判定

栗原 雅/2020.10.28

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 健康管理の一環として、社員のストレスチェックを行っている企業が増えている。ストレス診断の精度を上げるには、チェックの回数を増やす必要があるが、そのままでは社員の回答負荷が高まって回答が得られにくくなる。

 ストレスチェックの回答のしやすさを最優先して、ストレスチェックを「毎日行う」システムの運用を始めたのがKDDIだ。2020年9月、試験運用していた「AI社員健康管理」を、全社員1万2000人対象に拡大した。回答を分析してストレスによる休職リスクを算出し、事前に適切なサポートを実施することにつなげていく。

1日1回ストレスチェックの質問を送る

 KDDIは社員の健康管理の一環として、2019年5月から、全社員を対象に年2回の社内カウンセラーとの面談と、年1回のストレスチェックを実施している。それと並行して、KDDI総合研究所などと各社員の休職リスクを推定するAIを開発してきた。残業時間の増減、年休の取得日数、ストレスチェックの結果から休職リスクを判定し、それを社内カウンセラーが面談時に参考にする。

 ただ、面談回数が年2回と少ないのが課題だった。「もっと情報の鮮度を高める必要がある。半年間ごとではその間に起きた心身の不調を見逃すかもしれない」(人事本部働き方改革・健康経営推進室カウンセリング2Gの坂田泰子グループリーダー)。

 新システムでは1日1回、ストレス状態に関する質問を社員に送ることで、「日々のストレスの変化を逃さずとらえられるようにできる」(同)。

 質問は20種類あり、1日に送信するのはそのうちの1種類。毎日種類を入れ替え、約1カ月で一巡したら、最初の種類から繰り返す。質問内容は、「最近、よく眠れていますか?」「最近、食欲はありますか?」「休日はリラックスできていますか?」などの心身状態を聞くもの、「最近、仕事で褒めてもらえましたか?」「現在、仕事で困ったときに相談しやすい職場ですか?」などの仕事環境を聞くものなど、多岐にわたる。

5種類の顔文字を選んでタップするだけ

「AI社員健康管理」の最大の特徴は、1回の回答に数秒程度という短時間しか要しないことだ。

 質問は平日午前9時台に、メッセージングアプリ「+メッセージ」で社員の業務用スマホに一斉に送られる。「+メッセージ」は、電話番号だけでメッセージのやりとりができるSMS(ショートメッセージ)の機能を拡張したもの。テキスト以外にスタンプ、画像、動画などのやり取りができる。KDDIのスマホ(au)は標準で備えている機能なので、社員は基本的にアプリをインストールする必要がない。また、ログインなどの操作も必要ない。