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イノベーション
2018.03.12

量子コンピュータ競争に予算半分以下で後れる日本
ビジネスを変える"夢の”次世代コンピュータでできること

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特化型と汎用型の2種類がある

現在、量子コンピュータには「量子ゲート方式」と呼ばれる汎用型と、「量子アニーリング方式」と呼ばれる「組み合わせ最適化問題」を解くことを中心に利用される特化型の2種類がある。

「組み合わせ最適化問題」とは、例えばセールスマンが複数の都市を巡回する際に最小コストとなるルートを求めるような問題。中学数学の「順列」を思い出すとわかるが、5都市であれば120通りなのが、10都市となると362万8800通りにもなる。こうした膨大な計算を量子コンピュータは瞬時に行なえるのだ。

量子コンピュータのハードウェアは、核磁気共鳴、量子光学、量子ドット、超電導素子、レーザー冷却など、様々な方法が研究されている。特化型である「量子アニーリング方式」は比較的シンプルな構造で実現できるため、すでにカナダD-Wave社から商用量産機が登場している。しかし、IBMやGoogleが開発に取り組んでいる汎用型の「量子ゲート方式」は実現のハードルが高く、商用化には時間がかかると言われている。

ちなみに、D-Wave社が商用化したシステムが採用する「量子アニーリング方式」は、東京工業大学 西森秀稔教授のアイデアを採用している。そのお膝元の日本では資金面で欧米に後れをとっているのは残念な限りである。

また、計算を効率的に行なえるということは、省電力にもつながる。消費する電力はスーパーコンピュータの500分の1ともいわれており、エネルギー問題の深刻化が危惧される将来において、従来型コンピュータと比べて優位性の1つとなっている。

AIと結びつくことで大きなインパクトが生まれる

量子コンピュータのこの驚異的な処理能力は、普及したときには世の中に大きなインパクトを与えるだろう。

例えば、金融業における投資ポートフォリオの最適化。世にある膨大な銘柄から最適な組み合わせを求めるのに量子コンピュータは絶大な力を発揮するだろう。

また、化学物質の組み合わせにより行なう新薬開発。現在は世界の大手が莫大な開発費をかけて行なっているが、量子コンピュータを使えば複雑な組み合わせも処理可能となり、開発コストも大幅に削減できるだろう。

そして最もインパクトの大きそうなのが、人工知能(AI)への応用である。量子コンピュータを用いることで、人工知能の機械学習(データを元に自ら学ぶ機能)の精度を飛躍的に高められると見られている。これによって、自動運転車などもより実現が早まるかもしれない。

そんなインパクトを与える量子コンピュータだが、もちろん所有するのは容易ではない。そのため冒頭で触れたようにクラウドによる利用が早くも盛り上がりを見せ始めているようだ。IBMでは2016年から一部に提供しており、中国の大手IT企業のアリババも2018年3月から提供を開始。Googleも2018年中の提供を目指すとしている。

クラウドで利用できるとなれば、企業も導入しやすい。今後、活用する企業はますます増えてくるだろう。

各国が国家戦略として開発に取り組む量子コンピュータ。今後、日本の量子コンピュータ開発がどのように進んでいくのか、注目していきたい。

JBPRESS

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