「日本政府観光局(JNTO)」の発表によると、訪日外国人旅行者は2016年1月~11月の間で21,988,400人おり、前年度の17,964,279人と比べ22.4%もの伸率を見せている。2020年のオリンピックも見据え、今後さらに訪日外国人旅行者の増加が予測されていることもあり、民泊サービスへの注目が高まっている。
スマートハウスの考えが広まる中、オーナーが遠隔で物件管理していることが多い民泊物件ではIoTの利用が急激に伸びている。だが、近年さまざまなIoTデバイスが発売されているため、実際にどのようなIoTデバイスが民泊を運営する際に必要とされているかは、まだまだ検証が必要だ。
そんな中で、民泊・ホテル・旅館に特化し運用業務をタスクごとに専業の登録ユーザーとマッチングする効率的なクラウドソーシングサービス「mister suite (ミスタースイート)」を展開するSQUEEZEが、2016年12月21日より、民泊におけるIoTデバイスの検証実験の実施をスタートした。
検証期間は2016年12月21日から2017年1月31日まで。全国で450件以上あるmister suite運用物件を活用し、どのようなIoTデバイスが民泊を運営する際に必要とされているかということを理解するため、各種IoTデバイスのシステム連携や運用検証、オーナーによる各種IoTデバイスの必要性の検証、民泊利用者にとっての利便性の検証を行っていく。
民泊物件における検証IoTデバイス一覧
■スマートロック
鍵の受け渡しトラブルや、安全性が万全ではないという民泊物件の問題において、スマートロックを利用することで鍵のトラブル、安全性を確保する。
■Wi-Fiルーター (SIMフリー)
訪日外国人の「困ったことランキング」でも1位になるほど、日本において無料公衆無線LANが利用できないことは訪日外国人を受け入れる上で問題となっている。民泊物件にWi-Fiルーターを置くことで、宿泊物件におけるWi-Fiの問題を解決していく。
■センサーゲートウェイ
世界で最も普及しているIoT無線規格のZ-Waveを採用したセンサーシステム用のゲートウェイを導入し、物件内のIoTデバイスを全て一つのアプリで管理していく。さまざまなIoTを導入した場合に一括管理でき、民泊物件利用者の利便性が高まることが期待できる。
■マルチセンサー
温度・湿度・照度・UV・振動・モーションセンサーなど、さまざまなものを感知するセンサーを物件に設置することで、遠隔から物件内の情報を確認。物件に人がいるかの確認を始め、安全性が高まることが期待できる。
■ドア開閉センサー
民泊の安全性が問われている点として、物件における人の出入りが不明確であることが挙げられている。この問題に対し、ドア開閉センサーを設置することで、物件に入退室している時間の記録を取ることが可能となる。
■赤外線リモコン管理集中システム
訪日外国人にとって、物件においてある日本語のリモコンは操作が難しいもの。現在は全てのリモコンの使い方を英語で明記するものが用意されているが、アプリでリモコンを全て英語で管理できるシステムを導入し、家電製品を使用する際の利便性を高めていく。
■騒音センサー
民泊では利用者による騒音問題が大きな問題になっているという。騒音センサーを利用することで、騒音を遠隔でも感知して、民泊利用者が一定レベルの騒音を立てた際に電話やメールで連絡し、近隣住民への迷惑を最小限に防いでいく。
■LEDランプ
民泊物件の運用で物件オーナーにとって悩ましいのは光熱費が高くなること。モーションセンサーや時間に応じて点灯、明るさの調整をするランプを導入することにより、電気の消し忘れなどによる光熱費の高騰を防いでくれる。
今回の検証実験の結果を元に、SQUEEZEは民泊物件によるIoT化を更に促し、活用する方法を考え、IoT化に貢献していくことで、安全で安心な民泊運用の促進を目指していくという。